林田力

書評『図解 ひと目でわかる地方消滅』

林田力

別冊宝島2299『図解 ひと目でわかる地方消滅』は人口が減少する日本の未来をまとめた書籍である。「日本の人口減少」を軸に地方の現状と未来を、地図、表、グラフ、図版を中心にヴィジュアル面を重視して解説する。

本書は空き家問題も取り上げている。「特に問題となるのは、空き家になったにも関わらず、買い手や借り手を募集しているわけではなく、そのまま置かれている状態の『その他』の空き家である」(米山秀隆「7軒に1軒は空き家」48頁)。

江東区は、その他の空き家の割合が多い(林田力『何故、空き家活用か』「江東区の状況」)。これが希望のまち東京in東部が江東区議会に「若者の自立支援政策を目的とした区内の空き家の実態調査とそれに基づく施策策定を求める陳情」(26陳情第23号)を提出した背景である。

本書の巻頭は猪瀬直樹前東京都知事のインタビューである(「人口減少時代の「成長戦略」論」)。江戸時代後半も人口減少社会であったとし、人口減少を嫌悪するのではなく、人口減少社会の中で持続可能な社会を志向する。そのために「既得権益の利益の分配のためにあった規制を変えて、既得権益のない人たちでも新しいビジネスを立ち上げやすい環境にしていかなければいけない」と主張する(13頁)。この論理構成は巧みである。現代日本で猪瀬氏が撤廃を求める規制の個々については議論があるだろうが、頭ごなしに規制緩和反対を叫ぶだけでは、既得権擁護者に過ぎなくなる。

本書には赤木智弘氏の小説「2040年、70歳「現役」フリーター」もある。赤木氏は格差社会の犠牲者の心理を率直に表明した論文「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」の著者である。

最近ではTwitterで放射脳カルトを皮肉っている。「「岩上安身が狭心症で倒れたのは放射能のせい」と騒ぐ人がさっぱりいないのは、さすがに放射脳な人たちも本気で心配しているからだろう。ということは、これまで「放射能のせい!」と言っていた有名人などの死は、放射脳にとっては利用するためのネタに過ぎなかったということでもある」

小説では高齢者ばかりとなり、衰退した未来の日本を描く。貧困層を排除したゲーテッドコミュニティーも、中間層の没落によってスラム化したとの説明にはリアリティーを感じた(79頁)。現在の新築分譲マンションなども、そのようになりそうである。

一方で小説の主人公である70歳現役フリーターの生活が本人が言うほど悲惨なものには感じられない。確かに主観的には惨めな生活であるが、衣食住は何とか足りている。ブラック企業や貧困ビジネス(ゼロゼロ物件・脱法ハウス)、危険ドラッグ売人などの現代の社会悪に直面している人々からすれば落ち着いた生活である。

「社会は荒れ果て、無差別殺人や自殺を前提とした自爆テロが当たり前となった」という記述がある(79頁)。その中で惨めでも変わらない毎日を送れるような安定を維持できるだろうか。衣食住さえ大変という実態が見えてこない。

「「『丸山眞男』をひっぱたきたい」には反体制を気取りながら、自分達は世代間格差の受益者になっている左翼シニア世代への真っ直ぐな怒りがあった。左翼シニア世代が鬼籍に入った未来では怒りの明確な向け先がなくなり、ただただ罵倒しているだけになってしまった感がある。ブラック企業や貧困ビジネス、危険ドラッグ売人などが存在する限り、「目の前にある、ほんの僅かな幸福感」(80頁)さえ維持できないように思われる。



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