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林田力 記事一覧

林田力「市川海老蔵暴行事件は反社会的勢力との戦い(上)」PJニュース2010年12月17日
http://www.pjnews.net/news/794/20101217_1
林田力「市川海老蔵暴行事件は反社会的勢力との戦い(下)」PJニュース2010年12月17日
http://www.pjnews.net/news/794/20101217_2
林田力「被害届出し渋りで底が見えた海老蔵事件の元暴走族」PJニュース2010年12月18日
http://www.pjnews.net/news/794/20101217_8
林田力「『のだめカンタービレ』第25巻、のだめと千秋の共演で完結」リアルライブ2010年12月18日
http://npn.co.jp/article/detail/29926031/
林田力「ネット右翼は東京都青少年健全育成条例で目を覚ませ」PJニュース2010年12月20日
http://www.pjnews.net/news/794/20101219_6
林田力「集団訴訟と個別訴訟の長短(上)」PJニュース2010年12月21日
http://www.pjnews.net/news/794/20101220_7
林田力「集団訴訟と個別訴訟の長短(下)」PJニュース2010年12月22日
http://www.pjnews.net/news/794/20101220_8
林田力「人気漫画『ONE PIECE』への一抹の不安」リアルライブ2010年12月23日
http://npn.co.jp/article/detail/55984762/
林田力「追伸に対する一考察」PJニュース2010年12月25日
http://www.pjnews.net/news/794/20101224_9
林田力「洲崎橋の狭い歩道に拡幅要望=東京・江東」PJニュース2010年12月26日
http://www.pjnews.net/news/794/20101225_2
林田力「海老蔵バッシングの嘘で明らかになる六本木の闇」PJニュース2010年12月26日
http://www.pjnews.net/news/794/20101225_3

林田力「劇場版2作目公開中『相棒』の奥深さ(1)」PJニュース2010年12月28日
http://www.pjnews.net/news/794/20101226_5
林田力「劇場版2作目公開中『相棒』の奥深さ(2)」PJニュース2010年12月29日
http://www.pjnews.net/news/794/20101226_6
林田力「劇場版2作目公開中『相棒』の奥深さ(3)」PJニュース2010年12月30日
http://www.pjnews.net/news/794/20101226_7
林田力「劇場版2作目公開中『相棒』の奥深さ(4)」PJニュース2010年12月31日
http://www.pjnews.net/news/794/20101226_8
林田力「劇場版2作目公開中『相棒』の奥深さ(5・終)」PJニュース2011年1月1日
http://www.pjnews.net/news/794/20101226_9

林田力「『M-1グランプリ2010』準優勝のスリムクラブにも注目」リアルライブ2010年12月28日
http://npn.co.jp/article/detail/93347969/
林田力「『相棒−劇場版II』杉下右京を引き立てる神戸尊の正義感」リアルライブ2010年12月29日
http://npn.co.jp/article/detail/76333897/
林田力「宗教ネタが深まる『聖☆おにいさん』第6巻」リアルライブ2010年12月31日
http://npn.co.jp/article/detail/16242549/
林田力「『静かなるドン』第97巻、ストーリーの練られた長寿作品」リアルライブ2011年1月2日
http://npn.co.jp/article/detail/43677936/

林田力「男になれなかった市川海老蔵(上)」PJニュース2010年1月2日
http://www.pjnews.net/news/794/20101229_7
林田力「男になれなかった市川海老蔵(中)」PJニュース2011年1月3日
http://www.pjnews.net/news/794/20101229_8
林田力「男になれなかった市川海老蔵(下)」PJニュース2011年1月4日
http://www.pjnews.net/news/794/20101229_9

林田力「長周期地震動で超高層マンションの資産価値下落も」PJニュース2011年1月5日
http://www.pjnews.net/news/794/20101228_4
林田力「『NARUTO』第54巻、キャラクターの死に注目」リアルライブ2011年1月6日
http://npn.co.jp/article/detail/63796717/
林田力「『トリコ』第12巻、グルメとバトルの二本立て」リアルライブ2011年1月7日
http://npn.co.jp/article/detail/75928992/
林田力「『M-1グランプリ』に見るツッコミの衰退(上)」PJニュース2011年1月7日
http://www.pjnews.net/news/794/20110106_3
林田力「『M-1グランプリ』に見るツッコミの衰退(下)」PJニュース2011年1月8日
http://www.pjnews.net/news/794/20110106_4
林田力「区長選に向け新たな会が始動=東京・世田谷」PJニュース2011年1月8日
http://www.pjnews.net/news/794/20110108_1
林田力「東京ムジークフロー特別演奏会=東京・江東」PJニュース2011年1月11日
http://www.pjnews.net/news/794/20110110_8
林田力「『プロジェクトX』の弊害」PJニュース2011年1月14日
http://www.pjnews.net/news/794/20110113_5
林田力「復讐の光も直視『相棒』正月特番・聖戦」リアルライブ2011年1月15日
http://npn.co.jp/article/detail/04695012/
林田力「トレンディ大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』開始」リアルライブ2011年1月15日
http://npn.co.jp/article/detail/37082747/
林田力「川畠成道ニューイヤーコンサート2011=東京・千代田」PJニュース2011年1月16日
http://www.pjnews.net/news/794/20110114_7
林田力「業平橋駅がスカイツリー駅に変わる寂寥感」PJニュース2011年1月16日
http://www.pjnews.net/news/794/20110115_2
林田力「稲本潤一と田中美保のデート暴露炎上に見るSNSの怖さ」リアルライブ2011年1月17日
http://npn.co.jp/article/detail/27787427/
「柴田英嗣の復帰でアンタッチャブルは復活するか」リアルライブ2011年1月17日
http://npn.co.jp/article/detail/12941766/
林田力「東京ムジークフローが19世紀ロシア音楽を演奏」リアルライブ2011年1月18日
http://npn.co.jp/article/detail/41055251/
林田力「『江〜姫たちの戦国〜』第2回、女性視点で織田信長の孤独に迫る」リアルライブ2011年1月19日
http://npn.co.jp/article/detail/74828922/
林田力「日本人の謝罪の醜さ」PJニュース2011年1月22日
http://www.pjnews.net/news/794/20110121_5
林田力「釈由美子の額にも注目『隠密八百八町』」リアルライブ2011年1月24日
http://npn.co.jp/article/detail/35256039/
林田力「『相棒』第12話「招かれざる客」キャラを崩す小芝居が笑い呼ぶ』」リアルライブ2011年1月25日
http://npn.co.jp/article/detail/00111087/
林田力「新築マンションからケヤキを守る住民運動=東京・府中」PJニュース2011年1月25日
http://www.pjnews.net/news/794/20110124_7
林田力「伊達直人現象の政治性」PJニュース2011年1月26日
http://www.pjnews.net/news/794/20110125_9
林田力「『GANTZ』第30巻、人類の立場が逆転」リアルライブ2011年1月26日
http://npn.co.jp/article/detail/35868297/

林田力「『江〜姫たちの戦国〜』第3回、築山殿事件から人間論へ」リアルライブ2011年1月27日
http://npn.co.jp/article/detail/40183223/
林田力「川畠成道がニューイヤーコンサートでヴィヴァルディをアレンジ」リアルライブ2011年1月27日
http://npn.co.jp/article/detail/84365203/
林田力「お寺プロレスは伊達直人現象を克服するか」リアルライブ2011年1月28日
http://npn.co.jp/article/detail/44447961/
http://news.livedoor.com/article/detail/5302423/
林田力「『BLOODY MONDAY Season 2』第6巻、ハッカーと工作員がラブラブに」リアルライブ2011年1月29日
http://npn.co.jp/article/detail/96796413/
林田力「ドリームモー娘。結成とモーニング娘。の方向性(上)」PJニュース2011年1月29日
http://www.pjnews.net/news/794/20110128_2
林田力「ドリームモー娘。結成とモーニング娘。の方向性(中)」PJニュース2011年1月30日
http://www.pjnews.net/news/794/20110128_3
林田力「ドリームモー娘。結成とモーニング娘。の方向性(下)」PJニュース2011年1月31日
http://www.pjnews.net/news/794/20110128_4
林田力「『相棒』高視聴率は劇場版との連動ストーリー期待か」リアルライブ2011年2月2日
http://npn.co.jp/article/detail/33192049/
林田力「慶應OBらがマハラジャで80年代に戻るダンパを開催」リアルライブ2011年2月2日
http://npn.co.jp/article/detail/23010394/
林田力「昼ドラ並みのドロドロ展開を見せるフジ月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』」リアルライブ2011年2月4日
http://npn.co.jp/article/detail/65693422/
林田力「小池晃氏擁立の革新都政をつくる会は歌でも勝負」リアルライブ2011年2月4日
http://npn.co.jp/article/detail/56381926/
林田力「『相棒』第14話「右京のスーツ」、興奮する右京の変人ぶりに注目」リアルライブ2011年2月5日
http://npn.co.jp/article/detail/30786556/
http://news.livedoor.com/article/detail/5321990/
林田力「嫉妬の犠牲者を嫉妬深い弁財天に祀る駒留八幡神社」リアルライブ2011年2月7日
http://npn.co.jp/article/detail/30834440/
林田力「土の団子で御利益の栄珠稲荷神社」リアルライブ2011年2月7日
http://npn.co.jp/article/detail/44889391/
林田力「『江〜姫たちの戦国〜』第5回、本能寺の変はパワハラの悲劇」リアルライブ2011年2月8日
http://npn.co.jp/article/detail/86006494/
http://news.livedoor.com/article/detail/5328468/
林田力「『白竜LEGEND』第16巻、医療過誤追及でカタルシス」リアルライブ2011年2月12日
http://npn.co.jp/article/detail/90848191/
林田力「『R-1ぐらんぷり2011』芸達者な佐久間一行が優勝」リアルライブ2011年2月12日
http://npn.co.jp/article/detail/92723693/
http://news.livedoor.com/article/detail/5338936/
林田力「新しいせたがやをめざす会が区長選候補選定演説会開催=東京・世田谷」PJニュース2011年2月14日
http://www.pjnews.net/news/794/20110213_2
林田力「『江〜姫たちの戦国〜』第6回、あり得ない展開にも脚本の奥深さ」リアルライブ2011年2月16日
http://npn.co.jp/article/detail/87669317/
http://news.livedoor.com/article/detail/5347885/
林田力「新しいせたがやをめざす会が区長選に向け政策案を公開=東京・世田谷」PJニュース2011年2月17日
http://www.pjnews.net/news/794/20110217_1
林田力「実写映画『あしたのジョー』に早くも続編待望論」リアルライブ2011年2月17日
http://npn.co.jp/article/detail/89542129/
林田力「都知事選出馬の渡辺美樹・ワタミ会長の経営の評価」PJニュース2011年2月21日
http://www.pjnews.net/news/794/20110219_3
林田力「『隠密八百八町』第7話、江戸時代の習俗を反映する娯楽時代劇」リアルライブ2011年2月23日
http://npn.co.jp/article/detail/63173092/

林田力「『江〜姫たちの戦国〜』第7回、出しゃばる江は新たなヒロイン像」リアルライブ2011年2月24日
http://npn.co.jp/article/detail/58844733/
林田力「道重さゆみが2012年でモーニング娘。を辞めると宣言」リアルライブ2011年2月28日
http://npn.co.jp/article/detail/61665893/
林田力「土建政治からの転換を目指す世田谷区長選・黒木実候補」PJニュース2011年2月28日
http://www.pjnews.net/news/794/20110225_5
林田力「市民運動はツイッターやSNSの積極的活用を(上)」PJニュース2011年2月28日
http://www.pjnews.net/news/794/20110226_1
林田力「市民運動はツイッターやSNSの積極的活用を(中)」PJニュース2011年3月1日
http://www.pjnews.net/news/794/20110226_2
林田力「市民運動はツイッターやSNSの積極的活用を(下)」PJニュース2011年3月2日
http://www.pjnews.net/news/794/20110226_3
林田力「『江〜姫たちの戦国〜』第8回、硬軟織り交ぜた大地康雄の演技」リアルライブ2011年3月2日
http://npn.co.jp/article/detail/32179706/

林田力「過労死概念の変遷」PJニュース2011年3月3日
http://www.pjnews.net/news/794/20110302_3

林田力「『遺恨あり』藤原竜也が演じた被害者遺族の悲しみ」リアルライブ2011年3月4日
http://npn.co.jp/article/detail/05906797/

林田力「非欧米で唯一帝国主義化した日本の失敗」PJニュース2011年3月7日
http://www.pjnews.net/news/794/20110305_6
林田力「いしだ壱成が反原発運動弾圧体験をブログで告白」PJニュース2011年3月7日
http://www.pjnews.net/news/794/20110306_2

マンガ、コミック

深夜アニメ 深夜アニメが本格的に増えてから数年が経過する。それなりに粒がそろっているものの、後世に残るほどの傑作は乏しい。ここ数年のアニメ業界は進行性閉鎖の傾向がある。どんどんマニアックになっていってファンが離れていき、新しいファンがなかなか寄り付かない。しかし、「最近のアニメはつまらない」「昔はよかった」と否定することは建設的ではない。一般受けを狙えば逆に熱心なファンを遠ざけることになるためである。その意味でマニアックになるということは熱心なファンを満足させようとする方向として肯定的に評価できる。

『碇シンジ育成計画 第12巻』碇ゲンドウの活躍

本書(GAINAX・カラー原作、高橋脩作画『新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画 第12巻』角川書店、2011年9月22日発売)は社会現象にまでなったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のパラレルワールド作品である。
オリジナルでは人類の興亡を賭けた使徒との戦いと主人公の孤独という重苦しい背景があった。これに対して、『碇シンジ育成計画』はラブコメ学園物の明るいタッチである。シンジ、レイ、アスカの三角関係に転校生・霧島マナが加わって恋愛ドラマが盛り上がる。
人類を幸福にするためのものという碇ゲンドウらの研究の謎やゼーレの妨害工作などシリアス要素もある。この巻でもゼーレの妨害工作が強まるが、赤木リツコに「大したことはない」と評されるような存在で終わり、平和な明るさが続いていく。ゲンドウが偉そうに命令するだけの人物ではない点が見どころである。(林田力)

『名探偵コナン 第72巻』大いなる長期連載

本書(青山剛昌『名探偵コナン 第72巻』小学館、2011年)は『週刊少年サンデー』で連載中の推理漫画の単行本である。この巻ではコナンが初めて海外で事件に遭遇したロンドン編が完結する。このロンドン編では工藤新一と毛利蘭の関係が大きく変化する。次のビル監禁事件では、沖矢昴の怪しさが再確認される。大きくストーリーが進みそうに見えつつも、オムニバス形式で新たな事件が発生する。大いなる長期連載である。(林田力)

『名探偵コナン』『エンジェル・ハート』最新刊で地上げを話題に

同時期に発売された人気漫画『名探偵コナン』と『エンジェル・ハート2ndシーズン』の単行本の最新刊が奇しくも共に地上げをテーマとしたエピソードを収録した。ジャンルや読者層の異なる両作品でテーマが重なったことは注目される。
『名探偵コナン』は青山剛昌が『週刊少年サンデー』に連載中の推理漫画で、9月16日に第73巻が発売された。『エンジェル・ハート2ndシーズン』は北条司が月刊コミックゼノンで連載中のハードボイルドで、9月20日に第2巻が発売された。
子ども向け推理漫画の『コナン』と青年向けハードボイルドの『エンジェル・ハート』では趣が大きく異なるが、両作品とも主人公らが遭遇した事件を解決する大枠は共通する。『コナン』は推理、『エンジェル・ハート』はアクションが見どころであるが、愛憎入り混じった人間関係が物語を重厚にする。
その人間関係を織りなす背景に両作品とも地上げが登場する。『コナン』では開発のために立ち退きを迫られるラーメン屋が舞台である。『エンジェル・ハート』はマンション建設から桜の木を守ろうとする住人の話である。共に営業妨害や放火など悪質な地上げ行為が繰り返されている。
地上げ屋はバブル経済期の徒花というイメージがあるが、むしろバブル崩壊後の建築分野の規制緩和でも出番が増えた。それまで高層ビルが建てられないような土地でもマンションなどの高層建築が可能になり、地上げの対象となった。21世紀に入って「景観市民運動全国ネット」(2005年)や「景観と住環境を考える全国ネットワーク」(2008年)ら住環境を守る全国的な市民団体が相次いで設立されたことは、乱開発激化の裏返しである。
その意味で地上げは古くて新しい問題であり、両作品で取り上げたことは社会感覚の鋭さを示すものである。しかし、共に勧善懲悪型の作品ながら夢いっぱいの結末ではなかった。共に地上げは成功してしまう。
『コナン』のラーメン屋は取り壊されたものの、別の場所に移転して繁盛することでハッピーエンドとなる。これはラーメン屋が格別の美味であったから可能なことである。現実は立ち退きがなければ存続できた店舗が、移転によって地元客が遠のき衰退してしまう例が多い。理不尽にも立ち退きを余儀なくされたが、才能があったためにゼロからの再出発でも繁盛したという展開は、立ち退きで苦しめられた多くの人々の救いにはならない。
また、『エンジェル・ハート』は桜の木を守れてハッピーエンドとなっているが、マンション自体は建設される。実は特徴的な大木が伐採を免れ、コンクリートに囲まれた中に残される開発事例は少なくない。これは自然保護運動の小さな勝利ではあるが、真の意味で自然を残したとは言い難い。
勧善懲悪型のフィクションならば地上げ屋の目的を全面的に打ち砕く結末になっても不思議ではないが、『コナン』も『エンジェル・ハート』も住民を不幸にする地上げの重たい現実を反映した内容になった。
(林田力)

『銀の匙』第1巻、ハガレン作者の新作は酪農学園モノ

荒川弘が『週刊少年サンデー』で連載中の漫画『銀の匙 Silver Spoon』第1巻が7月15日に発売された。『銀の匙』は大自然に囲まれた北海道の農業高校を舞台に新入生・八軒勇吾の農業高校生活を描く酪農学園物語である。
荒川弘はファンタジー漫画『鋼の錬金術師』(ハガレン)で一躍人気漫画家となったが、『銀の匙』はハガレンとは全く異なるジャンルの作品である。『銀の匙』は実在の帯広農業高等学校をモデルとし、農家以外には馴染みが薄い農業高校の生活を描く。酪農を中心とした農業知識も作品には満載である。農家出身で農業高校卒という荒川の実体験を反映している。
主人公のキャラクターも対照的である。ハガレンの主人公エドワード・エルリックは背が低いというコンプレックスはあるものの、自分の考えと目的を持ち、自分に自信がある存在であった。これに対して八軒勇吾は実家から離れられればいいというだけで全寮制の高校に入学し、将来の目的は持っていない。
主人公の対照性も加わって『銀の匙』は幾人のキャラクターの絵柄以外には、ハガレンと同一作者であることを感じさせない作品になった。最近では初連載作品が代表作であり、唯一の連載作品という漫画家も増えている中で、荒川の引き出しの豊富さは注目に値する。
『銀の匙』では脇を固める同級生が個性的で、主人公は巻き込まれ型である。同級生は皆、明確な目的を持って農業高校に入学し、農業の将来についても一家言持っている。将来性のない斜陽産業とも酷評される国内農業であるが、『銀の匙』に登場するような学生達が存在するならば、まだまだ農業に希望を抱くことができる。
北海道の学校を舞台とし、個性的な学生や教師が動物を相手に学園生活を送る展開は佐々木倫子の『動物のお医者さん』に重なる。しかし、動物の死を避けた『動物のお医者さん』に対し、『銀の匙』は最初から家畜を食用と捉えるなど農業の現実に即している。この巻でも登場人物の獣医に獣医の素質を「殺せるかどうか」と語らせており、死を直視することで命の尊さを浮かび上がらせた。(林田力)

『境界のRINNE』第7巻、サツマイモにマンドラゴラの呪い

高橋留美子が週刊少年サンデーに連載中の漫画『境界のRINNE』第7巻が、3月18日に発売された。『境界のRINNE』は幽霊が見える少女・真宮桜と成仏できない霊を輪廻の輪に導く仕事をしている少年・六道りんねの学園心霊コメディである。
心霊問題の解決が物語の主軸になるが、登場人物間の複雑な恋愛感情によってドタバタ劇になる。この点で高橋の過去の作品『らんま1/2』と類似する。自分の気持ちに素直ではない主人公カップルは、つかず離れずを繰り返す。ツンデレという言葉が生まれる前から高橋作品に見られたツンデレぶりである。脇役は逆に自分の気持ちにストレートで、それがドタバタを拡大する。
同じオカルト系でも週刊少年ジャンプ作品の『地獄先生ぬ〜べ〜』や『ぬらりひょんの孫』では霊や妖怪がリアルである。これに対し、『境界のRINNE』に登場する霊や妖怪は絵柄も性格もユーモラスで間が抜けているものが多い。そのため、オカルト系が苦手な人でも楽しめる内容になっている。
『境界のRINNE』は基本的に1話または数話で話が完結するオムニバス形式となっている。この巻では縁日、海の家、霊道石、化け猫、真宮家の秘密、サツマイモ畑の呪いの話が収録されている。中でもサツマイモ畑の呪いに注目である。園芸部が育てていたサツマイモにマンドラゴラの呪いがかけられたことが事件の発端である。
マンドラゴラ(マンドレイク)は実在するナス科の植物であるが、伝承では人の足のような根っこを持つとされる。引き抜く時に悲鳴を上げ、それを聞いた人は発狂または死亡してしまう。この伝承は『ロミオとジュリエット』や『ハリー・ポッター』でも言及された。恐ろしい伝承であるが、『境界のRINNE』では呪われたイモに目や口が現れ、「アバラ折れたな」「治療費出せやコラ」などと悪態をつく。気持ち悪いが、コメディらしくユーモラスな呪いに描かれている。
サツマイモ畑が呪われた理由についても、高橋作品の頻出パターンながら、話の運び方が巧妙で読者を裏切らせてくれる。この巻では物語全体に関係しそうな大きな伏線は登場しないものの、日常ドタバタを楽しませる安定感が存在する。(林田力)

『史上最強の弟子ケンイチ』第42巻、師弟関係重視の格闘漫画

松江名俊が『週刊少年サンデー』(小学館)で連載中の格闘漫画『史上最強の弟子ケンイチ』第42巻が、4月18日に発売された。『史上最強の弟子ケンイチ』は、いじめられっ子の白浜兼一が道場・梁山泊での修行や様々な武術家との戦いで成長していくバトル漫画である。少年漫画の王道であるバトルを中心に、お色気やギャグ、感動ドラマなどなど少年漫画の要素が盛り込まれている。
この巻では、梁山泊の面々が沖縄米軍基地にある秘密組織「闇」の拠点に潜入し、闇の勢力と激突する。岬越寺秋雨と馬剣星は「闇」の武器組と戦う。激しい戦いの中でも、お色気あり、ギャグありと達人クラスの安定した実力を見せつけた。そして兼一とアパチャイ・ホパチャイは最上階に進み、それぞれの因縁の相手と対決する。この戦いの中でアパチャイの過去編に突入する。
少年マンガの王道を歩む『史上最強の弟子ケンイチ』であるが、主人公の兼一が「史上最強」と銘打っていても、弟子である点が大きな特徴である。鳥山明の『DRAGON BALL』で孫悟空が亀仙人の下で修業をするなど、主人公が弟子入りすることは王道漫画の定番である。しかし、あくまでヒーローは主人公であって、いつまでも主人公が弟子に甘んじることはない。主人公は師匠を乗り越えていく存在である。
これに対し、『史上最強の弟子ケンイチ』は弟子であることに価値を置いている。これは敵側の「闇」も同じである。今回は活人拳のアパチャイの弟子である兼一と、殺人拳のクルー・アーガードの弟子であるティーラウィット・コーキンが対決する。自らの育てた弟子の優劣によって武術家の優劣も定まる。しかも、アパチャイは、かつてアーガードの弟子であったという深い関係にある。師弟関係が物語に深みを与えている。(林田力)

『ハヤテのごとく!』第29巻、女装主人公の執事コメディー

畑健二郎が『週刊少年サンデー』で連載中の漫画『ハヤテのごとく!』第29巻が、8月10日に発売された。『ハヤテのごとく!』は主人公の綾崎ハヤテが借金返済のために大財閥の令嬢・三千院ナギの執事を務める執事コメディーである。8月27日には映画『劇場版 ハヤテのごとく! HEAVEN IS A PLACE ON EARTH』が公開される。
美形の執事がワガママな主人に仕えるパターンは「執事物」とも言うべきジャンルを形成しているが、その連載開始は2004年で執事ブームよりも古い。執事ブーム以前からの作品であり、典型的な執事物とは異なる性格を有する。
主人公らが通学する白皇学院を舞台にした学園物の要素も大きい。何よりも可愛らしい女性キャラが多数登場する萌え漫画になっている。ハヤテとナギの関係も最初から執事と主人ではなかった。誤解からハヤテを恋したナギがハヤテの借金を立て替え払いして執事に雇ったことが出発点である。
さらに物語の進展によって、ナギ達は三千院家の豪邸から出て、古アパート「ムラサキノヤカタ」に住むことになる。ハヤテに恋する桂ヒナギクやハヤテの初恋の人である天王州アテネらが「ムラサキノヤカタ」の賃借人になり、ハーレム設定が強まった。
さらに、この巻では女装させられたハヤテを女性と勘違いした水蓮寺ルカが積極的にアプローチする。これまでもハヤテは女装させられ、綾崎ハーマイオニーなる偽名まで存在する。しかし、今回の女装は従前とは一味異なる。準ヒロインの西沢歩の私服を着るという新鮮味のあるものであった。
その女装したハヤテが再会したルカは大人気アイドルという設定である。漫画に登場する芸能人キャラクターは性格が悪くて高慢という設定が定番であるが、ルカは対極に位置する。不幸な境遇で育ちながらも、他人を信じる心を持ち続ける。そのまっすぐな性格は人見知りが激しいナギとも会ってすぐに打ち解けたほどであった。
他人を信じるが故に嘘が嫌いなルカに、男性であることを隠すハヤテは嘘に嘘を重ねる状況に陥ってしまった。ルカとハヤテの今後の関係に注目である。
(林田力)

『ハヤテのごとく! 第30巻』深みにはまる

本書(畑健二郎『ハヤテのごとく! 第30巻』小学館、2011年)は『週刊少年サンデー』で連載中の漫画の単行本である。映画化もされた人気マンガの節目となる第30巻では、女性と勘違いされたハヤテの正体が露見する。女装していたハヤテは女性と勘違いされる。
ハヤテにだまそうとする悪意はなく、真相を話そうとするものの、親切心から相手に深入りするうちに、ますます打ち明けにくくなってしまう。これは前の巻から繰り返されてきた展開であるが、巻き込まれる脇役の反応など筋運びの巧みさによって飽きさせない。この巻では遂に真相の告白を決意するが、またもやタイミングを逃し、深みにはまってしまう。そして想定できる限り最悪の状況での真相露見という、あり得ない展開を自然に描く。(林田力)

『デッドマン・ワンダーランド』第9巻、現実の先を行く絶望的な展開

片岡人生と近藤一馬が月刊少年エースで連載中の漫画『デッドマン・ワンダーランド』第9巻が3月26日に発売された。『デッドマン・ワンダーランド』は東京大震災で崩壊した近未来の東京の完全民営化刑務所「デッドマン・ワンダーランド」を舞台とした監獄サバイバル・アクションである。4月16日からテレビ神奈川などでアニメも放送される。
主人公は中学生の五十嵐丸太である。震災で大部分が水没した東京から地方に疎開して平凡な生活を送っていたが、無実の罪で「デッドマン・ワンダーランド」に収監される。監獄内では囚人同士に強制される決闘・死肉祭(カーニバル・コープス)など理不尽な出来事が連続する。
しかし、囚人達も虐げられるだけではない。良識派の看守らを巻き込み、刑務所長の玉木常長を追い詰めていく。この巻は満身創痍となりながらも、主人公側の反撃という希望を抱ける展開を承けたものだが、新たな絶望と混乱を提示した。玉木との戦いには決着がつけられるが、玉木も踊らされた一人に過ぎなかった。
『デッドマン・ワンダーランド』は漫画版『交響詩篇エウレカセブン』を手掛けた二人によって2007年から連載が開始されたが、大震災による社会の荒廃という現実の先を行く設定で注目度が急上昇している。
震災のリアリティを追求した作品ならば他にも『太陽の黙示録』などがある。それらに比べると、『デッドマン・ワンダーランド』は血液を操って戦うなどファンタジー色が強い。それでも細部に不気味なリアリティがある。たとえばネット依存症の引き籠りが震災時の停電でパソコンが使えなくなり、自分の世界が壊れたと絶望するシーンがある。これは伝統的な災害被害の視点では出てこないものである。
一方で東日本大震災直後の時期に地震を描写した作品を刊行することに対し、作者には躊躇があった。片岡のブログ「片岡商店 人生支店」の3月23日付記事「デッドマン・ワンダーランド9巻について」では「揺れに対して恐怖等感じている方は買い控えていただければと思います。」と述べている。
編集担当者に地震の描写を9巻から削除し、10巻に回すことができないか提案したが、印刷も完了しており、無理との回答であったという。ブログ記事では「マンガは逃げませんし、いつでも手にとることができます」として、「気が向いたときにでも手にとっていただければ幸いです」と結んでいる。(林田力)

『デッドマン・ワンダーランド』第10巻、理不尽さの際立つ展開

片岡人生と近藤一馬が月刊少年エースで連載中の漫画『デッドマン・ワンダーランド』第10巻が5月26日に発売された。同日発売の月刊少年エース2011年7月号の表紙絵も『デッドマン・ワンダーランド』で、第10巻かけかえカバーが付録になっている。
『デッドマン・ワンダーランド』は東京大震災後の近未来を描くアクション作品である。これまでは完全民営化刑務所「デッドマン・ワンダーランド」に送られた囚人達の生き残りをかけた闘いが中心であった。しかし前巻で刑務所を仕切っていたプロモーター・玉木常長の陰謀に終止符が打たれ、「デッドマン・ワンダーランド」は閉鎖される。この巻からは新たな章に突入する。
バラバラになったG棟の住人達は東京大震災の元凶であるレチッドエッグを倒すため、マキナ元看守長と共に再び「デッドマン・ワンダーランド」に集結する。そしてシロとレチッドエッグの関係や剥切燐一郎所長の陰謀、主人公・五十嵐丸太の母親・空絵の過去など物語の核心に迫る謎が明かされる。
『デッドマン・ワンダーランド』の魅力は読者を絶望させる理不尽さにある。丸太は平凡な中学生であったが、突如現れた「赤い男」(レチッドエッグ)に級友を皆殺しにされる。しかも、級友殺害の罪を着せられ、死刑囚として「デッドマン・ワンダーランド」に送致される。「デッドマン・ワンダーランド」では囚人への非人道的な扱いが日常化していた。
この巻の理不尽さも際立っている。丸太の運命を一変させた憎むべき存在であるレチッドエッグの正体は、幼馴染みで非人道的な囚人生活の心の支えになっていたシロであった。レチッドエッグを倒すことがゴールであるが、それはシロの死も意味し、ハッピーエンドにはならない。
さらには母親の空絵がレチッドエッグの誕生に関わっていたことが示される。想定外の災厄が降りかかることは理不尽であるが、それ以上に親しい人物が災厄の元凶であった場合の絶望感は大きくなる。この大きな絶望に丸太がどのように立ち向かうのか、今後の展開に注目である。(林田力)

『黒執事』第12巻、ゾンビによるパニックと貴族精神

枢やなが『月刊Gファンタジー』に連載中の漫画『黒執事』第12巻が、7月27日に発売された。この巻は全編がゾンビとのアクション中心の豪華客船編であるが、作品の魅力である19世紀イギリスの貴族精神が色濃く描かれた内容になった。
『黒執事』はヴィクトリア朝時代のイギリスをモデルとした社会を舞台に、完璧な執事セバスチャン・ミカエリスと彼の主人である幼い貴族シエル・ファントムハイヴの日常や事件を描く。イケメン執事が完璧な所作で主人に尽くす執事ブームの一翼を担っている作品である。
セバスチャンの正体は悪魔であり、「黒」執事とのタイトルが示すように物語には怪奇的な側面もある。この巻が属する豪華客船編では豪華客船カンパニア号でゾンビ(動く死体)が人々を襲うパニック物になっている。『バイオハザード』の要素だけでなく、豪華客船が舞台ということで『タイタニック』の要素も楽しめる。
ゾンビは秘密結社・暁(アウローラ)学会の人体蘇生によって動き出したものである。カンパニア号上の研究発表会で蘇生された人体がゾンビとなって人間に襲いかかったが、実はゾンビは貨物の中に多数存在した。ゾンビの研究の背後には企業の陰謀が仄めかされ、ストーリーに奥行が出た。
セバスチャンの超人的な大活躍や人気死神の再登場など見所が多い巻であるが、注目は誇り高き貴族精神である。セバスチャンとの別行動を余儀なくされたシエルは数々の危機を切り抜け、許婚のリジー(エリザベス・ミッドフォード)を守るために奮闘する。また、乗客を守るために戦うミッドフォード侯爵一家はノブレス・オブリージュの精神を体現したものであった。
そして圧巻はラストである。絶体絶命の窮地において意外なキャラクターが意外な能力を発揮する。「もうダメだ」と思わせておいて、ダメではなかったという展開はストーリー展開の基本であるが、この巻のラストの意外感は衝撃的である。そこにも貴族的な信念と、生き抜こうとするシエルに感化された新たな思いが存在する。このキャラクターが活躍する次巻にも注目である。(林田力)

『エグザムライ戦国』第7巻、ヤンキーテイストはEXILEにプラスか

三浦浩児脚本、山口陽史作画により『月刊少年チャンピオン』で連載中の漫画『エグザムライ戦国』第7巻が、2011年11月8日に発売された。『エグザムライ戦国』はダンス&ボーカルユニットのEXILEのHIROがプロデュースし、日本の戦国時代に類似する架空の世界を舞台にEXILEのメンバーを模した侍や忍者達が活躍する作品である。キャラクター原案は高橋ヒロシが担当した。

この巻では正体不明の怪人カグラとの戦いに決着がつけられる。ストーリー自体は「俺たちの闘いは、これからだ」的な終わり方で、新章突入のための強引さがある。主要キャラはHIRO、ATSUSHI、MAKIDAI、TAKAHIRO、MATSU、USA、AKIRAの7名で、その後のEXILEのメンバー増員は反映されていない。これに対して、新章では現在のEXILEの構成と同じ14人の侍達の活躍が予告されており、新章突入には大人の事情も見受けられる。

一方で『エグザムライ戦国』にはEXILEのプロモーション漫画やEXILE人気への便乗漫画と割り切れない面がある。それは作品全体を貫くヤンキーテイストである。もともとキャラクター原案の高橋ヒロシは『クローズ』などのヤンキー漫画を得意とする。掲載誌の『月刊少年チャンピオン』もヤンキー漫画が中心である。

これらにふさわしく、『エグザムライ戦国』で描かれるEXILEのメンバー達は実物以上にワイルドな風貌で、性格もヤンキー的なノリである。現実社会ではヤンキー文化は時代遅れのダサいものとなっているが、過去を舞台に描けばヤンキー的なキャラクターも時代遅れにならない。

『カメレオン』でヤンキーの成り上がりを描いた加瀬あつしも『週刊少年マガジン』で連載中の新作『ばくだん!幕末男子』では幕末を舞台に新撰組をヤンキー集団的なノリで描く。国際的にも注目される武士や侍の精神性を社会のはみ出し者であるヤンキーにたとえる『エグザムライ戦国』も『ばくだん』も歴史ファンにとっては噴飯物であるが、フィクションとしてはユニークな視点を提供する。

その反面、ヤンキーテイストで描くことがEXILEにとってメリットがあるかは別問題である。EXILEのファンの大半は女性であるが、『エグザムライ戦国』はファンの感覚とはマッチしていない。果たしてEXILEのイメージアップになるかは疑問である。

それが逆に良くも悪くも『エグザムライ戦国』を独立して評価できる作品にしている。特に、この巻では主人公的存在のHIROが単純にプロモーションになるようなカッコいい存在で終わっていない。物語の世界観を重視した展開になった。(林田力)

本田真吾『ハカイジュウ』第5巻

『月刊少年チャンピオン』で連載中の本田真吾『ハカイジュウ』が2011年11月8日に第5巻を発売した。一つの章を完結させた『エグザムライ戦国』第7巻に対し、こちらは新章に突入する。『ハカイジュウ』は未知の生物が現代の立川市を襲うモンスターパニック漫画である。

第4巻までは立川市で起きた惨事から逃げる人々を描いたが、この巻では立川市の外側にいたキャラクターが主人公となる。怪物による恐怖だけでなく、真相を隠蔽しようとする政府の不気味さがクローズアップされる。自衛隊が立川市一帯を壁で覆い、立ち入り禁止区域としていた。壁の内側では自衛隊員による常軌を逸した横暴が展開されていた。

これまでも『ハカイジュウ』では体育教師と名乗る武重のような異常な人間の恐怖を描いてきた。この巻では権力を背景とした人間の不気味さが描かれる。そして、その種の大人達を普通の少年である絢士(けんじ)が全く信用していないことが小気味よい。普通ならば大人の甘言に乗せられて全てを奪われてしまいがちである。確かな批判精神を持つ絢士の行動力に注目である。(林田力)