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二子玉川ライズ情報公開問題

二子玉川東第二地区市街地再開発組合設立認可の決裁文書の「委託調査報告書」及び「別紙1調査報告書」を開示すべきとの立場から意見を陳述します。東京都情報公開審査会答申では「委託調査報告書」のみを非開示としていますので、それに絞って陳述します。
陳述では最初に自己紹介を行い、続いて情報公開条例の解釈適用のスタンスを説明します。最後に「委託調査報告書」が著作権法第18条第4項第3号に基づいて開示されるべきことを述べます。
最初に自己紹介です。私は二子玉川の緑豊かな自然環境を愛する東京都民です。私は『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を2009年に出版しました。これは二子玉川東地区再開発事業を主導する企業であり、参加組合員である東急不動産の消費者無視の企業体質を告発した書籍です。さらに二子玉川再開発に反対する住民運動を取材した結果をまとめた電子書籍『二子玉川ライズ反対運動』を2010年に出版しました。
私は二子玉川の環境を愛する立場として、自然や住環境を破壊して高層ビルを建築する二子玉川東地区再開発に反対します。オフィスや商業施設など公共性のない計画によって、住環境や自然、景観を損なうことは正当化できません。
また、都税を納める納税者としても、オフィスや商業施設を建設する二子玉川東地区再開発に1期2期合わせて700億円もの莫大な税金が投入されることに反対します。商業施設やオフィスのニーズがあるならば民間が自らの計算とリスク負担で行うべきです。そのような事業に税金を投入することは、自らの責任で事業を遂行している他の事業者に対してアンフェアになります。
この立場から私は二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画案に対して意見書を提出し、意見陳述も行いました。特に私は都市再開発法第17条の認可要件である経済的基礎が再開発事業に存在せず、再開発事業の中心となる東急電鉄・東急不動産に事業遂行能力が存在しないと主張しました。
意見書は全部で199通も寄せられ、そのうちの191件は計画の見直しを求める反対意見でした。口頭意見陳述では131名の住民意見陳述と9名の専門家による補佐人意見陳述が行われ、ここでも再開発への疑問、反対や見直しを求める意見が圧倒的多数を占めました。それにもかかわらず、反対意見の問題意識に応えることなく、再開発組合の設立が認可されたことには憤りを覚えます。
組合設立が認可されたということは東京都が経済的基礎や事業遂行能力があると判断したことになりますが、そのように判断した根拠について説明責任が果たされていません。意見書提出者には2010年6月に意見書採択結果が通知されましたが、その内容は「事業計画に修正を加えるまでには至らないので、不採択と決定いたしました」という簡単なものでした。不採択した具体的理由は述べられていません。
ここで開示が問題となっている決済書類は東京都の判断の根拠となるものであり、その内容を明らかにすることが都民への説明責任を果たすことになります。

続いて情報公開条例の解釈適用のスタンスを説明します。日本国憲法は主権在民を基本原理とし、地方自治では住民自治を原則としています。行政の保有する文書は原則開示が求められるものです。行政機関が形式的な判断で開示範囲を狭めることは許されません。東京都情報公開条例第3条は「実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、公文書の開示を請求する都民の権利を十分に尊重するものとする。」と定めています。
故に開示・非開示の判断においては、主権在民や住民自治という情報公開制度の大目的を踏まえる必要があります。そして非開示にすることで保護される利益と文書を開示することによる公益上の必要性とを比較衡量し、個別の事案に応じて慎重に検討しなければなりません。開示によって被る不利益が情報公開の利益よりも甚大な場合に限って例外的に非開示とされるべきものです。

それでは「委託調査報告書」の具体的な判断に進みます。「委託調査報告書」は帝国データバンクが作成し、都市再開発法第17条の認可要件である事業遂行能力の判断材料になったものです。結論を先に申しあげると、「委託調査報告書」は著作権法第18条第4項第3号に基づいて開示されるべきものです。以下、理由を説明します。
著作者人格権の公表権と行政文書の情報公開は著作権法第18条第4項で調整されています。このうち、東京都情報公開条例に関係する条項は第18条第4項の第3号と第4号と第5号です。第3号は以下のように規定されています。
「情報公開条例(行政機関情報公開法第十三条第二項及び第三項に相当する規定を設けているものに限る。第五号において同じ。)の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。」
行政機関情報公開法第13条第2項及び第3項は第三者に対する意見書提出の機会を付与する規定です。東京都情報公開条例は第15条「第三者保護に関する手続」で同じような規定を設けています。よって東京都情報公開条例は第3号の情報公開条例に該当します。
行政機関情報公開法第5条第1号ロと第二号ただし書は「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」です。よって、「委託調査報告書」が「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」であるかが問題になります。
ここでポイントは「人の生命、健康、生活又は財産を保護する情報」ではなく、「公にすることが必要であると認められる情報」となっていることです。これは対応する東京都情報公開条例の規定も同じです。
条例第7条第2号ロは「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」です。
条例第7条第3号は以下のようになっています。
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イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生命又は健康を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報
ロ 違法若しくは不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある支障から人の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある侵害から消費生活その他都民の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報
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このように全て「公にすることが必要であると認められる情報」となっています。ある文書が、これらの条項に該当するか否かは文書の内容から機械的形式的に判断することはできません。「人の生命、健康、生活又は財産」に直接関係しないから該当しないという解釈にはなりません。あくまで「公にすることが必要であるか」という見地から判断する必要があります。
緑豊かな風致地区に超高層ビルを建設する再開発は、地域の環境に甚大な影響を及ぼします。再開発によって、日照被害、景観破壊、圧迫感、ビル風の風害、大気汚染、電波障害、水害激化など周辺住民は具体的な被害を受けます。現実にビル風では負傷者が出ています。
これらは「人の生命、健康、生活又は財産」の問題そのものです。事業遂行能力に欠ける事業者が再開発を進めるならば、住民への配慮は全くなされないことになります。それ故に東急電鉄や東急不動産に事業遂行能力があるかは「生命、健康、生活又は財産」を保護したい住民が知る必要のある情報です。
このように「委託調査報告書」は「生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にする」意味がある情報です。さらに「公にすることが必要であると認められる情報」とするためには開示によって得られる利益と損なわれる利益を利益衡量します。利益衡量では開示による利益は不利益を大きく上回ります。
再開発組合設立認可は多くの都民の関心事です。周辺住民が大きな影響を受けることは先に述べたとおりです。加えて補助金など再開発への多額の税金投入は納税者に関係する問題です。これは事業計画案の縦覧に対して200人弱の住民から反対の意見書が出されたことが示しています。文書の開示は都民の知る権利に応えるものであり、行政の説明責任を果たすことになります。
それが東京都情報公開条例第1条の目的「東京都が都政に関し都民に説明する責務を全うするようにし、都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進し、都民による都政への参加を進める」に沿うことになります。むしろ住民参加と透明性のある街づくりのために情報公開請求を待つまでもなく自発的に開示すべきであり、住民に開示されて文書の目的が全うできるものです。
一方で開示による不利益は限りなく小さいものです。「委託調査報告書」は第三者である帝国データバンクが作成したものですが、その公表権を保護しなければならない必要性は低いものです。ここでは3つの理由を挙げます。
第一に東京都の委託によって作成された文書であり、最初から東京都が行政の目的に使用することを想定したものです。東京都は住民自治に基づく地方自治体ですから、住民の要請によって政策決定に使われた文書を住民に開示することも十分に想定しなければならいことです。
帝国データバンクは開示に同意していないとされますが、情報公開制度の意義を踏まえて目的論的に解釈すべきです。東京都の政策決定のために文書を提出した以上、政策決定の過程や決定後の検証で文書が関係者に広く参照されることは当然想定しなければなりません。
帝国データバンクは著作権を留保していますが、たとえば東京都が内部資料として会議で使用するために会議出席者分コピーしても著作権侵害として責任追及はされません。著作者人格権についても文書の性格から情報公開への対応は予め想定されるべきものです。
第二に将来的には帝国データバンクが販売することを予定しているとされており、公表が予定された文書です。
第三に文書の基礎情報は東急電鉄や東急不動産が公開した財務諸表などの経営情報であり、秘密にするような内容ではありません。
以上より、開示されるべきとの結論になります。東京都情報公開審査会答申は形式的な法令の当てはめをするだけで、実質的な判断を放棄しており、不当です。情報公開制度の目的に従い、「委託調査報告書」の開示を求めます。

情報公開審査会が二子玉川ライズ決済文書の一部開示を答申

二子玉川東地区再開発(街の名称:二子玉川ライズ)に関する東京都の決済文書が一部非開示になった問題で、東京都情報公開審査会は8日付で答申を東京都知事に出した。答申では一部の公文書について非開示を不当とした。
答申は二子玉川東第二地区市街地再開発組合設立の決裁書類の情報公開請求の文書非開示決定への異議申し立てに対するものである。異議申し立ては東京都知事に対してなされるが、東京都情報公開条例第19条によって、東京都情報公開審査会審査会に諮問される仕組みになっている。
問題となった決裁文書は「外部専門機関委託調査報告書」「別紙1調査報告書」である。このうち、「外部専門機関委託調査報告書」は帝国データバンクに作成を委託した文書で、参加組合員予定者(東京急行電鉄、東急不動産)らの信用調査、財務状況の分析などを内容とする(林田力「二子玉川ライズ決済文書一部非開示理由が明らかに=東京・世田谷」PJニュース2010年12月19日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20101218_4
答申は「著作者である帝国データバンクの公表権を侵害するため、公開できない」とする東京都の判断を踏襲した。公表権に関する著作権法と情報公開条例の個々の例外規定に当てはめた上で判断するが、「委託先が販売目的で作成するならば、委託調査報告書は初めから公開されていることと同様」とする異議申し立て人の主張には答えていない。
「別紙1調査報告書」は参加組合員予定者の信用力や資力・財務体力を評価した文書である。これについて東京都側は「外部専門機関委託調査報告書」に基づいて作成した文書であり、二次著作物に該当すると主張していた。しかし、答申では以下のように述べて、二次著作物であることを否定した。
「委託調査報告書を参照し、必要な情報を自らが定めた審査基準に当てはめて評価基準への適合状況を示したものに過ぎず、また参照された情報はすべて一般に公表されたものである」
それ故に著作権法上の問題には該当せず、開示すべきと結論付けた。

二子玉川ライズ文書非開示に意見書提出=東京・世田谷

二子玉川東地区再開発(街の名称:二子玉川ライズ)に関する東京都の決済文書が一部非開示になった問題で、情報公開請求した世田谷区民らが2011年1月14日付で東京都情報公開審査会に意見書を提出した。
世田谷区民らは東京都が2010年6月に認可した二子玉川東第二地区市街地再開発組合設立の決裁書類の情報公開を請求した。しかし、東京都は一部の文書を非開示としたため、異議を申し立てていた(林田力「二子玉川ライズ決済文書一部非開示理由が明らかに=東京・世田谷」PJニュース2010年12月19日)。
今回の意見書は東京都による非開示の理由説明に対する反論である。意見書では東京都の理由説明を「とうてい納得できるものではありません」と主張する。また、審査会で区民らが口頭意見陳述することも求めている。
国民(都民)の知る権利は、憲法上の権利であり、民主主義の根幹である。情報開示は、知る権利を保障するものでなければならない。また、二子玉川ライズのような大規模な公共事業・都市計画事業は、憲法上の「公共の福祉」に適し、資するものでなければならない。そのためには事業に関する情報が国民(都民)に広く開示され、憲法と関連法の目的、立法趣旨に照らして、適正かつ公正な情報開示が行われなければならない。
さらに二子玉川ライズのような事業を適正に進めるためには、事業者だけでなく、住民の参加・参画が不可欠である。今日の世界と日本で、環境権などと同様、住民のまちづくり参画権の保障がますます重要になっている実態を直視し、東京都行政は、住民参画の前提・基本条件である情報開示を適正・公正に行うことが求められているとする。
東京都は文書の作成者(帝国データバンク)が事業活動として販売している文書であるために公開できないと説明した。これに対し、意見書では販売目的で作成された文書ならば公開することに支障はないと反論し、以下のように批判する。
「行政が、住民(国民)の権利・利益を顧みず、目先の『経済的利益』にとらわれた(委託先等)事業者の『意思表示』に唯々諾々と従うことなど、あってはならない」
意見書では憲法上の権利として「まちづくり参画権」を重視していることが特徴である。これは二子玉川ライズに対する住民反対運動や裁判にも共通する思想である。
日本国憲法では「まちづくり参画権」を条文に明記していない。保守的な憲法観では条文に存在しない権利を認めることに消極的である。実際、二子玉川ライズの差し止めを求めた訴訟の控訴審判決では以下の論理で環境権や「まちづくり参画権」を否定した(林田力「二子玉川ライズ差し止め控訴審判決は上告へ(上)」PJニュース2010年11月18日)。
「環境権や住民の『まちづくり参画権』を認めるべき憲法上の根拠は見出せないし、これらが憲法上の権利として成熟しているということもできない。」
「まちづくり参画権」が憲法上の権利として成熟しているか否かの認識は住民と裁判所で大きなギャップがある。しかし、そもそも新しい人権は成熟するまで認めないという発想は日本国憲法の起草者意思とずれている。内閣法制局で日本国憲法制定に関与した大友一郎氏は連合国軍総司令部の基本的人権に対する意図を以下のように解説する。
「基本的人権は限定されたものではなく、根源的かつ広範なものであることを日本国民によくわかるように示そうとした。……例えば、日本国憲法第11、12、97条において基本的人権は、いわば何か大きいもの、つまり根源的包括的なものとして書かれ、個別的存在ではないことが示されている。また、各人権規定についても、広く根源的なものとして定められている。」(庄司克宏編「日本国憲法制定過程−大友一郎講義録(2)」法学研究第83巻第8号、2010年、140頁)
基本的人権を条文に明記される権利に限定して解釈する方が、日本国憲法の制定当時の思想に反している。
また、自治体レベルでは「まちづくり参画権」は広がっている。
札幌市自治基本条例は以下のように定めている。
第4条「まちづくりは、市民が主体であることを基本とする。」
第5条「まちづくりは、市民の参加により行われるものとする。」
第6条「すべての市民は、まちづくりに参加することができる。」
静岡市自治基本条例は以下のように定めている。
前文「主権者である私たちは、まちづくりの主体であることを強く自覚し、自立した市民として、私たち自身で、又は私たちが信託した市議会と市の執行機関と協働して、私たちとこのまちを共に成長させながら、世界に誇れる自立した静岡市を創造することを誓い、ここに静岡市のまちづくりにおける最高規範として、この条例を制定します。」
第8条「市民は、まちづくりに参画し、その結果を享受する権利を有する。」
篠山市自治基本条例は以下のように定めている。
第10条「市民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参画する権利を有する。」
意見書は「東京都は、その先進的な規範を示すべき立場にあります」と述べている。東京都が「まちづくり参画権」保障の模範を示せるのか、東京都情報公開審査会の判断が注目される。

二子玉川ライズ決済文書一部非開示理由が明らかに=東京・世田谷

二子玉川東地区再開発(街の名称:二子玉川ライズ)に関する東京都の決済文書が一部非開示になり、理由説明書が2010年12月6日付で異議を申し立てた世田谷区民に送付された。世田谷区民は「設立認可の判断文書を都民の目から隠すもの」と反発する。
東京都は2010年6月に多くの住民の反対を押し切り、二子玉川東第二地区市街地再開発組合の設立を認可した(林田力「二子玉川東第二地区再開発組合設立認可に抗議(上)」PJニュース2010年7月7日)。
http://www.pjnews.net/news/794/20100705_5
これに対し、世田谷区民は7月1日に組合設立認可の決裁文書の開示を求めて、東京都に情報公開請求した。東京都は7月15日に開示を決定したが、決済文書のうち、「外部専門機関委託調査報告書」「別紙1調査報告書」は非開示とされた。
区民は9月9日に異議を申し立て、9月30日に東京都情報公開審査会に諮問された。東京都は11月30日付で石原慎太郎都知事名義の理由説明書を情報公開審査会に提出し、その文書が異議を申し立てた区民にも送付された。
非開示とされた両文書は「東京都市街地再開発事業に係る経済的基礎の審査基準」(2009年10月1日付21都市整民第349号)に基づいて参加組合員予定者(東京急行電鉄、東急不動産)の資力・信用の審査を行うために作成した文書である。「外部専門機関委託調査報告書」は帝国データバンクに委託した文書で、東急電鉄らの信用調査、財務状況の分析などを内容とする。「別紙1調査報告書」は「外部専門機関委託調査報告書」を基に都が作成した文書である。
理由説明書は以下の3点を非開示の理由とする。
第一に対象文書の公表権(著作者人格権)が帝国データバンクにある。「別紙1調査報告書」は二次的著作物であり、帝国データバンクには原著作者としての権利がある。
第二に対象文書は帝国データバンクが事業活動として販売している情報である。これを公にすることで、帝国データバンクの事業活動が損なわれるとする。
第三に対象文書を公にすることで、同種の調査を行う際、調査内容の開示を恐れて、契約に応じない法人などが現れる可能性があるとする。
この理由に対し、区民側は反発する。都市再開発法第17条では以下の場合に再開発組合の設立を認可してはならないと定めている。
「当該第一種市街地再開発事業を遂行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分でないこと。」
この経済的基礎及び事業遂行能力を審査する資料が対象文書である。東京都は再開発組合に事業遂行能力があると判断したから組合設立を認可した。もし、その判断が誤りであれば、認可は違法であり、取り消さなければならない。東京都には認可が正しいと都民に納得させる説明責任がある。ところが、対象文書が非開示ならば、都民が都の判断を検証することはできなくなる。
実際、二子玉川東第二地区再開発には反対の立場から多数の住民や専門家による意見書や意見陳述があったが、東急電鉄らの経済的基礎や事業遂行能力は大きな争点であった。私も口頭意見陳述で指摘した一人である。ワンハンドレッドヒルズ(俗称チバリーヒルズ)など東急不動産の失敗開発事例を例示しながら、大規模なオフィスビルを建設しても空室が増えるだけで、最後は行政が借り上げるなど税金で尻拭いさせられる危険性が高いと主張した(林田力『二子玉川ライズ反対運動』マイブックル、2010年、164頁)。
これは多くの住民に共通する認識で、いかなる理由で東京都が経済的基礎や事業遂行能力を肯定したのか純粋な疑問を抱いている。区民側は理由説明書に納得せず、意見書提出や情報公開審査会での意見陳述も検討している。

二子玉川再開発(二子玉川ライズ)への反対意見が情報公開で判明


東京都知事が2005年3月に認可した東京都世田谷区の二子玉川東地区第一種市街地再開発事業(第1期事業)に対し、地権者や周辺住民などからの意見書が反対意見で占められていたことが、東京都情報公開条例に基づき開示された文書から明らかになった。

開示請求は世田谷区民から2010年3月1日付でなされ、複数の文書が3月26日及び4月19日に開示された。圧倒的な反対意見に反して認可された事実が判明したことは、現在進行中の二子玉川東第二地区再開発事業(第2期事業)の審査にも影響を及ぼす可能性がある。

第1期事業は2004年7月2日から事業計画が縦覧され、144名141通の意見書が提出された。意見書提出者のうちの95名が口頭意見陳述を申し立て、同年9月3日から14日まで口頭意見陳述が行われた。意見内容は開示文書「意見書及び口頭陳述要旨整理表」にまとめられている。その内容は再開発への反対意見で占められている。

反対意見は多岐に渡る。大きく事業計画の内容に対する批判と再開発を進める側の姿勢に対する批判に大別される。まず計画内容への批判を3点に分けて紹介する。

第1に超高層ビルを中心とした大型開発による住環境の破壊である。これは反対意見中で最大の勢力を占める。
「国分寺崖線という地域の特性と少子化・低成長時代に高層ビルの林立はそぐわない。それよりも樹木と芝生を植えて都民の憩いの場となる自然を再生することが必要。」
「地球温暖化によるヒートアイランド現象を助長するであろう。多摩川の川風を遮断する高層ビルの林立に反対。目先の利益にとらわれて環境悪化を招く愚は避けて頂きたい」
「樹木を伐採するということは、緑にあふれた環境作りを根底から覆すことになる。子孫に残すべき財産を収奪する行為である。」
「一番の問題は自然破壊。マンションが増えたことにより、子どもの遊び場がなくなった。井戸が涸れている。富士山が見えなくなった。国分寺崖線につながる道路の渋滞がひどくなった。」
「丸子川と国分寺崖線の関係の中で、あの地域に大開発を行うと、多摩川の地下水を含めた湧水に大変な問題が起こる。」

第2に住環境の破壊に関連して、交通量増加への批判である。
「交通量の増加等による騒音、二酸化炭素の増加等により「住み良い世田谷」を標榜する意味がなくなる」
「現在でも恒常的に渋滞している狭い道路や246や多摩堤通りに、更に1日2万数千台を超える車両が流入し、地域住民の生活の安全や権利を根本から脅かすものである。」

第3にホテルやオフィスビルなどを内容とする再開発事業の採算性への疑問である。
「今の時代になぜ超高層なのか。本計画は20年前のものである。千葉のほうなどで大きなビルはつぶれている。ホテルに人が集まるのか。採算が取れるか分からない建物に税金まで投入して、そのあとどうにもならなくなったとき、誰が責任を取るのか」
「ビジネスは用賀の高層ビル、三軒茶屋のキャロットタワーを引き合いに出すまでもなく建てるだけ無駄である。ホテルも論外。都心(といっても渋谷)に向かう私鉄が一本あるだけの、アクセスの悪い当地区にこだわっているのは、最大の地権者である東急だけである。」

再開発を進める側の姿勢への批判も3点に分けることができる。第1に再開発組合を主導する東急電鉄・東急不動産ら東急の企業体質への批判である。これについては先行記事(林田力「二子玉川再開発事業計画への口頭意見陳述開始=東京・世田谷」PJニュース2010年4月21日)で紹介した。

第2に行政(世田谷区)の姿勢に対する批判である。
「日本は住民の立場に立った住みやすい環境作りに努力しているのか。二子玉川の再開発は一体誰が何のためにやるのか。結局、この場所に広い土地を所有する東急グループに対する救援の支援ではないか。用途規制や容積率を変えることによって、官が一民間会社を支援している。住民の利益や幸福が一番には考えられていない。」
「再開発の真の狙いは何か。東急と区・都の癒着がないか、100%の情報開示を望む。具体的に都・区からの天下りがどのような実態なのか、1990年以降今日まで隠さずに明らかにせよ。迂回した場合も含む。」
「福祉が切り捨てられている状況で、税金を投入すべきではない。」

第3に再開発の進め方も批判の対象になった。
「住民参加の機会である公聴会・説明会・意見陳述が実際は形式的なものになっている。住民の意見・要望を真摯に吸い上げ、修正できるところは修正しようというスタンスを持って頂きたい。」
「住民にとってこれだけ重要なことの口頭陳述の時間が5分は常軌を逸している。」
「説明会があったが、質問の時間が制限されていて、意見を言ってもそれに対するフィードバックがあるのかないのか分からない。」

開示文書「意見書及び口頭陳述要旨整理表」1枚目
開示文書「意見書及び口頭陳述要旨整理表」1枚目(撮影:林田力 2010年4月22日)


意見書や意見陳述での圧倒的な反対意見に対し、東京都の審査結果は形式的なものであった。たとえば超高層ビルの建設が国分寺崖線を望む景観や風致地区の住環境を破壊するとの反対意見に対し、「本地区は、都市計画により土地の高度利用を図るべき地区である」で済ませている(開示文書「二子玉川東地区市街地再開発組合の設立に係る事業計画に対する意見書の処理について」2004年11月10日)。

都市計画に反する計画が認められないことは当然である。しかし、都市計画への合致は必要条件であって十分条件ではない。都市計画の範囲内でありさえすれば機械的に認可されるならば、都道府県知事が審査する必要も地権者や周辺住民などから意見を聴取する必要もない。都市計画上は許容される高層建築であっても、日照権など他者の権利を侵害することはある(林田力「商業地域の仮処分決定に見る日照権保護の積み重ね」PJニュース2010年4月3日)。

地域社会への影響が甚大な再開発では都市計画で建築できる上限の範囲内であっても、都道府県知事は事業が環境を悪化させないか調査し、悪影響を回避・軽減するために修正を命じることが期待されている。それでなければ事業計画に対して地権者や周辺住民などが意見書を提出し、都道府県知事が審査する手続きを都市再開発法が定めた意味がなくなってしまう。

税金投入への批判に対しても、「道路等の都市基盤を整備し、細分化した土地の共同化を図り、快適な市街地を形成するため、事業費の一部に補助金等を当てることは適切であると判断する」で済ませている(前掲文書「意見書の処理について」)。これも実態を見落とした形式的な判断である。

確かに市街地再開発事業は、土地利用が細分化している地域で土地の合理的かつ健全な高度利用をすることが望ましいとの価値判断に立脚している。しかし、二子玉川東地区再開発区域では東急グループが約85%の土地を所有しており、「細分化した土地」ではない。審査結果は再開発ありきの説明であって、実態を踏まえたものではない。

意見書や口頭意見陳述では、事業計画に対して様々な視点から問題点が具体的に指摘されたにもかかわらず、それらがどのように審査され、不採用となったのかという点の説明がない。しかも、意見書提出者からは自分の意見の全てが「意見書及び口頭陳述要旨整理表」に掲載されていないとの主張もなされている。

現在進行中の第2期事業の審査では同じ轍を踏まないことが再開発に問題意識を持つ多数の人々の願いである。東京都の審査の進め方も注視されている。

開示文書「二子玉川東地区市街地再開発組合の設立に係る事業計画に対する意見書の処理について」
開示文書「二子玉川東地区市街地再開発組合の設立に係る事業計画に対する意見書の処理について」(撮影:林田力 2010年4月22日)



初出
林田力「二子玉川再開発への反対意見が情報公開で判明(上)」PJニュース2010年4月28日
http://www.pjnews.net/news/794/20100426_19
林田力「二子玉川再開発への反対意見が情報公開で判明(下)」PJニュース2010年4月29日
http://www.pjnews.net/news/794/20100426_20



関連条文

著作権法

(公表権)
第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
3 著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものとみなす。
三 その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体又は地方独立行政法人に提供した場合(開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 情報公開条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)の規定により当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること。
4 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
  一 行政機関情報公開法第五条の規定により行政機関の長が同条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき、又は行政機関情報公開法第七条の規定により行政機関の長が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき。
  二 独立行政法人等情報公開法第五条の規定により独立行政法人等が同条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき、又は独立行政法人等情報公開法第七条の規定により独立行政法人等が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき。
  三 情報公開条例(行政機関情報公開法第十三条第二項及び第三項に相当する規定を設けているものに限る。第五号において同じ。)の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
  四 情報公開条例の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ハに規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
  五 情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第七条の規定に相当するものにより地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示するとき。

(行政機関情報公開法等による開示のための利用)
第四十二条の二 行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人は、行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により著作物を公衆に提供し、又は提示することを目的とする場合には、それぞれ行政機関情報公開法第十四条第一項(同項の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法、独立行政法人等情報公開法第十五条第一項に規定する方法(同項の規定に基づき当該独立行政法人等が定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項の規定に基づく政令で定める方法以外のものを除く。)を含む。)又は情報公開条例で定める方法(行政機関情報公開法第十四条第一項(同項の規定に基づく政令の規定を含む。)に規定する方法以外のものを除く。)により開示するために必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律

(行政文書の開示義務)
第五条  行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。
一  個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法 (昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項 に規定する国家公務員(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第二項 に規定する特定独立行政法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律 (平成十三年法律第百四十号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第一項 に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員、地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条 に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
二  法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
三  公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
四  公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
五  国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
六  国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ハ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
ニ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ホ 国若しくは地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ

(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第十三条  開示請求に係る行政文書に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び開示請求者以外の者(以下この条、第十九条及び第二十条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2  行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
一  第三者に関する情報が記録されている行政文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
二  第三者に関する情報が記録されている行政文書を第七条の規定により開示しようとするとき。
3  行政機関の長は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該行政文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、行政機関の長は、開示決定後直ちに、当該意見書(第十八条及び第十九条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。

東京都情報公開条例

(この条例の解釈及び運用)
第三条 実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、公文書の開示を請求する都民の権利を十分に尊重するものとする。この場合において、実施機関は、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。

第七条 実施機関は、開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。

一 法令及び条例(以下「法令等」という。)の定めるところ又は実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項に規定する事務をつかさどる機関である内閣府、宮内庁、同法第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。)の指示等により、公にすることができないと認められる情報

二 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報

ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報

ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分

三 法人(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。

イ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある危害から人の生命又は健康を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報

ロ 違法若しくは不当な事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある支障から人の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報

ハ 事業活動によって生じ、又は生ずるおそれがある侵害から消費生活その他都民の生活を保護するために、公にすることが必要であると認められる情報

四 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報

五 都の機関並びに国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に都民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

六 都の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの

イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ

ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ

ハ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ

ニ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ

ホ 国若しくは地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その企業経営上又は事業運営上の正当な利益を害するおそれ

ヘ 大学の管理又は運営に係る事務に関し、大学の教育又は研究の自由が損なわれるおそれ

七 都、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人及び開示請求者以外のもの(以下「第三者」という。)が、実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供した情報であって、第三者における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるものその他当該情報が公にされないことに対する当該第三者の信頼が保護に値するものであり、これを公にすることにより、その信頼を不当に損なうことになると認められるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められるものを除く。

(公益上の理由による裁量的開示)
第九条 実施機関は、開示請求に係る公文書に非開示情報(第七条第一号に該当する情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該公文書を開示することができる。

(第三者保護に関する手続)
第十五条 開示請求に係る公文書に都以外のもの(都が設立した地方独立行政法人を除く。以下同じ。)に関する情報が記録されているときは、実施機関は、開示決定等に先立ち、当該情報に係る都以外のものに対し、開示請求に係る公文書の表示その他実施機関が定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 実施機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る公文書の表示その他実施機関が定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
一 第三者に関する情報が記録されている公文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第七条第二号ロ又は同条第三号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
二 第三者に関する情報が記録されている公文書を第九条の規定により開示しようとするとき。
3 実施機関は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該公文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示をする日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、実施機関は、開示決定後直ちに当該意見書(第十九条及び第二十条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示をする日を書面により通知しなければならない。