空き家対策は東京都議選争点
空き家活用は2017年東京都議会議員選挙の争点の一つになります。空き家の増加は大きな問題です。2025年には3戸に1戸は空き家になり街は「スポンジシティ」になると指摘されています(「あなたの家が「負動産」になる日」週刊現代2016年12月24日号)。空き家が活用されないことは不幸です。家は人が住んでこその価値です。住宅は供給過剰です。空き家を住宅として活用します。「新築マンション価格は高い」と考える消費者が増えています。購入検討者の多くも「購入したい新築マンションが少ない」と感じています。中古住宅の流通を促進します。建物の新築ではなく、既存の建物の活用にシフトします。経済が右肩上がりで永久に成長する筈がありません。成長すべきものでもありません。
空き家を若者向けシェアハウスなど住宅に活用します。空き家を廉価な住宅に活用し、可処分所得を増やします。これは住まいの貧困と空き家増加という二つの課題を共に解決できる施策です。若年層にとって居住費負担は重く、自立や結婚・出産を妨げる大きな要因になっています。空き家の多くはファミリー向けで単身者にはミスマッチです。3LDKを3人で住むシェアハウスによって需要と供給をマッチさせます。
空き家を借り上げ、行政窓口として活用します。行政サービスを中央集権型から地域分散型に転換します。住宅に近い窓口を大事にします。本庁舎に行かなくても多くの用事を済ませられるようにします。
以下は東京の空き家問題の動きです。
東京都福祉保健局は2016年11月25日、「福祉インフラ民有地マッチング協議会」第1回会合を開催しました。待機児童解消に向け、民有地や空き家の有効活用を目指します。実現への課題として民有地を保育所にするまでに時間がかかることや物件を提供したオーナーへのインセンティブが挙げられました(「民有地保育所活用へ」都政新報2016年12月2日)。
奥多摩町では若者の定住化を目的として、空き家を若い夫婦に無償提供する事業を開始しました。第一号は2015年度に町が主催したお見合いパーティーに参加し、結婚したカップルです(「持続可能な発展模索を」都政新報2016年12月2日)。
多摩26市の住宅政策担当課長らで構成する多摩地域住宅政策協議会が設立され、2016年11月25日に都市長会附属協議会への加入が認められました。多摩地域住宅政策協議会は空き家についての情報交換から活動を始めます(「市長会に新付属協議会 空き家など住宅政策を研究」都政新報2016年12月6日)。
既に住宅関連の市長会付属協議会として公営住宅の担当者で構成する都市町村公営住宅連絡協議会がありますが、検討対象が公営住宅に限定されていました。公営住宅限定の住宅政策は住宅市場の実態から乖離しており、新協議会は歓迎できます。
東京都は保育施設として使用するために貸し付けられた土地や家屋を対象に固定資産税を全額免除します。全国初の制度で、2017年度から導入します。マンション乱立が問題になる状況で、保育施設がアパートやマンションよりも税制上不利になることはバランスを失しており、良い施策です。小規模保育と合わせれば空き家活用にも弾みがつきます。
「背景には土地不足に加え、税制上の特例で固定資産税が6分の1に軽減されるアパートやマンションに押されて、民有地での保育施設整備が進みにくい状況がある。このため、都は直接課税する23区で固定資産税を全額免除し、市町村にも全額を交付金として補填(ほてん)する。免税規模は約30億円を見込んでいる」(「<待機児童対策>保育所家主、資産税免除へ 都が17年度」毎日新聞2016年1月6日)
空き家問題イベント
余り始めた不動産の実態と課題〜日本の常識は世界の非常識!?〜
神楽坂サロン1月2015年1月9日(金)午後6時30分〜8時30分
お話し:石田光曠氏
(京都まちづくり承継研究会 代表・まちづくり司法書士事務所代表)
会 場:東京しごとセンター 5Fセミナー室
(飯田橋駅 徒歩4分)
参加費:一般1500円、会員1000円、学生500円
(定員40名)
空き家の増加が止まりません。2040年には、空き家率が40%になるとも言われています。にもかかわらず、我が国は、いまだ全住宅の10%以上の新築着工率を堅持しています。
かなりの確率で、首都直下型地震が懸念されています。東日本大震災以降、地震に弱いと指摘され、着工を見合わせていた東京湾岸地区の超高層マンション計画が、東京オリンピック開催決定と同時に、再び着工ラッシュを迎えています。
外国人が日本の不動産を買い始めています。前述の湾岸地区の超高層マンションの3割以上が外国人の購入者だそうです。また、京都市の中心地で、何故か今どき億ション販売計画が急増しています。東京など非居住者の相続税対策で買うのだそうです。勿論、外国人購入者も増えています。非居住所有者がまちに増えることは、住民にとってとても困ることなのですが、その上に、彼らに相続が発生したらどうするのでしょう?政府も売主業者もその時のこと、イメージできているのでしょうか?
戦前の日本は、その相続制度も含め、不動産資産を適切な後継者に引き継ぐことを、実に重視してきました。明治時代以前も、法律などなくても、住民の知恵が結集した慣習、式目等で、見事に守ってきました。そこには、不動産はムラ(国家)の共有資産であり、地域社会のインフラ資産であるという認識があったとすれば、欧米と同じレベルにあったはずなのですが・・・・、一体いつからこの国は、危機意識・承継管理を忘れてしまったのでしょう?
現代の日本人が、不動産に関しての当たり前と思っている常識が、実は世界では、異常なほどの非常識である事柄がいっぱいあるのです。
●石田光曠のプロフィール
東京でテレビ・ラジオ番組の企画・制作に携わるている時から、仕事を通じて日本の住宅政策と人口予測の甘さを実感。まちづくりの重要性と不動産の承継対策の必要性を痛感し、法律の勉強を始める。
50歳を過ぎて司法書士試験に合格。現在、故郷京都市内の町家で、まちづくりや予防法務対策に特化した司法書士事務所を開業中。
京都まちづくり承継研究会代表、京都司法書士会理事、民事信託推進センター理事、住宅ねっと相談室事務局長
※終了後、懇親会を予定しています。(会場未定、費用別途)
※いずれも事前に申込が必要です。申込なしでご来場頂いた場合は資料や席が用意できないことがあります。
※当日、都合が悪くなった場合はキャンセルをお願いします。
※定員に達し次第締め切らせて頂きます。
ニッポン"空き家列島"の衝撃
NHK番組のお知らせです。シリーズ日本新生 ニッポン"空き家列島"の衝撃〜どうする?人口減少時代の家と土地〜(仮)
2015年1月10日(土)午後9時00分〜10時13分
年末年始に多くの人々が帰省し、くつろいだであろう実家。しかし近い将来、その実家の処分に頭を悩ます時代が来るかもしれない。人口減少が進む中、売ることも貸すこともできず、税金を払い続けるだけの「負の遺産」になりかねない。すでに空き家の問題は、全国で深刻化し始めている。今や7〜8軒に1軒は空き家、今後も急増すると予測されている。また、都市部でも中古住宅より“新築住宅”を優遇し続けてきた結果、住宅の増加には歯止めがかからず、さらに空き家を増やす要因ともなっている。一方で、水道などインフラの維持費用の負担の増大から、コンパクトシティを目指す動きが加速しているが、先行きは見えないまま。
根幹が揺らぎ始めている日本の住宅政策、そして国土利用。空き家問題を入り口に、人口減少時代に向けた対策を考える。
