林田力『東急不動産だまし売り裁判』研究



公共事業徹底見直しを実現する集会


11.16公共事業徹底見直しを実現する集会実行委員会は2012年11月16日に「公共事業徹底見直しを実現する集会 増税でバラマキを許さない」を開催した。消費税増税と同時に震災復興・防災を名目にムダで有害な公共事業が次々と復活し、新たな事業バラマキが目論まれている状況に怒り、抗議する集会である。

実行委員会の構成団体は道路住民運動全国連絡会、水源開発問題全国連絡会、ラムサール・ネットワーク日本、全国自然保護連合、スーパー堤防取消訴訟を支援する会、日本湿地ネットワーク、日本環境法律家連盟、渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える、日本森林生態系保護ネットワークである。

集会では13時に国土交通省要請行動を実施した。国土交通省前にはスーパー堤防やリニアモーターカーに反対する幟が林立した。高尾山天狗裁判に因み、天狗の衣装を着た人も登場した。国土交通省に要請文を提出しようとしたが、国土交通省側が庁舎に入れることを拒否し、路上で要請文を受け取ると主張した。これに対して住民側は門前払いであり、国民を蔑ろにする仕打ちと激怒した。押し問答の末に代表者10名程度がロビーに入り、要請文の読み上げとなった。住民無視の姿勢が国土交通省では見事なほど徹底されていた。



代表者以外は国土交通省前で「無駄な公共事業を中止しろ」「震災復興便乗のバラマキを許さないぞ」「国家強靭化基本法案反対」「防災・減災ニューディール推進基本法案反対」などのシュプレヒコールをあげた。

また、全国各地から集まった住民が発言した。

「江戸川区のスーパー堤防で住民は泣いている。スーパー堤防建設予算を東北の復興に金を回して欲しい」

「愛知県から来た。国土交通省は主権者たる国民が要請に来たことを重く受け止めてもらいたい。税金を有効に使ってください。大型公共事業を止めて東北の復興に使ってください」

「長崎県でダム建設に反対している。長崎県は地権者との土地の売り買いしか話をしないと言っている。国土交通省は中にさえ入れてくれない」

「秋田県成瀬ダムは発表者全員が反対意見であった。住民の賛成意見はない。必要性も緊急性もない。共に頑張ろう」

「リニア新幹線に反対する。住民には詳しい状況を説明しない。安全性に不安がある。リニア新幹線はコンピュータ制御で運転手はいない。一人か二人の車掌で千人の乗客を避難させられるか。リニアの電磁波は健康に有害。放射能と同じ問題がある」

「腸が煮え繰り返っている。防災を理由に公共事業を大幅に増やした。野田政権の下で進められている。外環や外環の2などである。とんでもない大盤振る舞いをしている。国民の生活が大変なのに増税で得た財源を公共事業に充てようとしている。ダムはムダである」

「民主党政権が『コンクリートから人へ』を掲げて政治が変わると思っていた。国土交通省も変わると思っていた。何だったのか。建設推進側は子どもだましの嘘をついてくる。水は余っている。人口は減少している。巨大な公共事業をする暇はない。国民は黙って見ていない。これ以上、公共事業のために国を潰す訳には行かない」

その後、14時半頃には首相官邸向かいの交差点でもシュプレヒコールをあげた。15時から18時過ぎまで衆議院第一議員会館・大会議室で院内集会を開催した。院内集会の参加者は約160人である。

道路住民運動全国連絡会の橋本良仁・事務局長は冒頭挨拶で「無駄な公共事業を止めよう。国民の暮らしを考えよう」と訴えた。日本の美しい国土が公共事業の名の下に破壊されている。国会解散の日に集会を開催することは何かの因縁である。

続いて出席議員の挨拶である。

福島瑞穂・社民党党首「公共事業をどうするかが問われる選挙である。古い政治には戻さない。政権交代でも公共事業にメスが入らなかった。怒りを感じながら政治の場で頑張っている。資料をキッチリと読む。消費税で得た財源を公共事業に使える仕組みになっている。公共事業を許すかどうかが問われる選挙である」

赤嶺政賢衆議院議員(日本共産党)「公共事業チェックという皆さんと同じ姿勢で頑張ってきた。那覇空港の沖合滑走路の問題が浮上している。那覇空港は自衛隊との共用空港であるが、沖合滑走路が出来たら米軍も使いたいと言っている。公共事業が軍事予算になる。この選挙を勝ち抜く」

広野允士・国民の生活が第一・副代表「東日本大震災からの復興予算を役所が流用している。本当に防災に役に立つのか、問い質さなければならない。今度の解散は民主党、自民党、公明党の談合解散。そのような政党には負けない」

大河原まさこ参議院議員(民主党)「コンクリートから人へは理念として守っていきたい。公共事業を見直して国民の生活を安定させる。公共事業削減で雇用が失われたと批判する政党がある。民主党政権は公共事業を見直すというルール化に未熟であった。残った私達は実質的に八ッ場ダム(やんばダム)を凍結している。公共事業を見直すために、どのような議員を選ぶか、考えて欲しい」

東祥三・国民の生活が第一・幹事長「本日は歴史的な集会になる。官僚主導の政治を変えると民主党は約束した。しかし、官僚に呑み込まれた政治になった。八ッ場ダムなど政治が中止と決定したならば、やってはいけない。約束が違うと野田首相や民主党執行部に何度も言ってきた。力及ばず、新党を結成した」

基調講演は市川守弘・日本環境法律家連盟副代表「増税で公共事業バラマキを許さない」である。消費税増税法案では附則で消費税の財源を公共事業に使うと定めている。官僚が露骨に自分達の取り分を要求する。ここまで露骨に官僚が要求したことは、これまでなかった。日本は官僚国家であり、国会が官僚を統制できていない。憲法の枠外の政治が行われている。消費税増税法案は官僚が全て決めていることを象徴する。官僚がいかに姑息なことをしているか、嫌と言うほど現場で見聞きしている。

小泉内閣時代に高速道路は株式会社方式と税金を投入する新直轄方式の何れかで建設することになった。共に国幹会議を経て決めることになった。しかし、自動車専用道路、一般国道の名目で道路建設が進められている。

林野行政では太い木や金になる木が伐採されている。北海道の大雪山には森はなくなった。スカスカのモヤシのような木があるだけである。沖縄・やんばるの森は森林整備事業によって瀕死の状態に追い込まれている。やんばるの森は元々豊かな森で整備事業は必要ない。だから補助金を得るために森を荒し、木を伐採する。目に見えないところで色々な嘘が行われている。

熊本県では下流での洪水防止を目的にダム建設が進められている。しかし、国交省の定めたマニュアルさえ守っていない。マニュアルにも問題があるが、それすら守っていない。中止された川辺川ダムの見返りで業者のために進めたとしか考えられない。日本は岐路に立っている。私達は一致団結声を上げなければならない。

東京都知事選挙に立候補した宇都宮けんじ氏が飛び入りで挨拶した。「国政だけでなく、自治体を作り替えることも必要。市民と一緒に都政を作り替える。石原都政は世界都市を作ることを名目に大型開発を進めた。都知事になったら検証していきたい。特に問題に取り組む住民の意見を聴いて検証していきたい」

特別報告は鈴木堯博・元日弁連公害対策環境保全委員長の「公共事業改革基本法案(試案)について」である。鈴木氏は高尾山天狗裁判弁護団の団長である。

公共事業複合体の下で公共事業が拡大した。民主党政権が八ッ場ダム中止を明言したが、棚上げされ、撤回された。12年の国家予算で大型公共事業が復活した。自民党の国土強靭化基本法案で200兆円規模のインフラ投資を掲げる。これは「人からコンクリートへ」政策の具体化である。人口減少社会で公共事業を続けたならば未来人は負担に耐えられなくなる。

続いて公共事業改革基本法案(試案)のポイントを説明した。情報公開の保障として、公共事業に関する情報は全て開示するようにする。現実は裁判でも開示しない。それは許されない。

市民参加の保障では市民の意見に応答する義務を定める。公聴会も言いっぱなしではなく、双方向の討論にする。また、市民監察委員会を設置し、意見を述べ、勧告できるようにする。

国と地方公共団体の役割分担では国の役割を基礎的なものに限定し、地域における行政の自主的かつ総合的な公共事業にする。審議会の改革では委員の経歴の公表などを実施する。試案では第三者機関のチェック、不正行為の禁止、科学的合理的な費用便益分析の確立なども盛り込んでいる。

実現のためにはムダで有害な公共事業の中止を求める運動を全国各地で粘り強く展開する。問題を提起して世論を盛り上げることが重要とまとめた。

続いて各運動体からの報告である。

道路住民運動全国連絡会(外環道の千葉県部分)「道路問題は事業費の膨大さ、何年経っても止めない。住民反対運動が強ければ放置し、後からゾンビのように復活させる。防災を名目に大型公共事業が進められている。防災ならば危険な一般道路を放置したままの状態が問題である。皆さんと共に阻止していきたい」

水源開発問題全国連絡会「コンクリートから人への象徴はダムである。民主党政権に期待したが、急速に萎んでいった。人口減少社会にダムを作ってはならない。作りすぎた社会資本のメンテナンスにコストがかかる」

ラムサール・ネットワーク日本「日本各地で湿地が埋め立てられている。平城宮の埋め立てでは反対署名を集めている。

那覇空港滑走路増設は自然破壊である。那覇空港の利用は頭打ちになっている。ところが、需要予測では右肩上がりになっている。ハブ空港にすると言っているが、沖縄で東アジアのハブ空港ができるのか。那覇空港の滑走路増設は不要不急の事業そのものである」

初鹿明博衆院議員が挨拶した。「民主党に離島届けを出してきた。八ッ場ダムに最後の最後まで抵抗した。一年以上前から民主党で選挙を戦うのは止めようと思っていた。消費増税にも反対した。八ッ場ダムは官房長官裁定の条件をクリアしなければ、予算執行はないかと確認した。しかし、首相の答弁では実施が前提になっている」

江戸川区スーパー堤防取消訴訟を支援する会「スーパー堤防の実態を国民に知らせたい。スーパー堤防も安全神話である。マンションの土台を作るだけである。国が金を出し、その上に乗っかってハコモノを作る。治水を考えていない。単なる開発計画である。江戸川区議会では自民党と公明党が占めており、論戦せずに数だけで進めている。そもそも堤防の上に建物を作ることがおかしい。自己矛盾を起こしている」

日本湿地ネットワーク(千葉県三番瀬)「堂本知事は埋め立てを白紙撤回した。しかし、第二湾岸道路建設計画は生きている。道路を作ることが目的化している」

日本湿地ネットワーク(福井県の中池見湿地)「福井県の中池見湿地はラムサール条約湿地であるが、湿地内の北陸新幹線建設が認可された。新幹線のトンネルによって水が湿地に供給されなくなり、湿地が破壊される」

渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える、水と緑の会「生命を守ると言われると反論できなくなる状況に問題提起したい。砂防ダムというハードで山野から守ることはできない。土砂災害がどこで起こるかは分からない。土砂を砂防ダムで止め続けたことで川に問題が起きている。土砂の供給不足で海の浸食が起きる。サケが遡上できず、死亡してしまう。ダムの新設を止めて、既存ダムのスリット化を進めていこうと訴えている。小水力発電で砂防ダム利用が言われているが、これを認めると砂防ダムの免罪になる」

日本森林生態系保護ネットワーク「日本の森林が劣化している。熊が里に出てくるが、それは数が増えているのではなく、追い出されている。奥山には生産力のない森になった。役所は静的な自然観であるが、自然は動いている。ダムなどで循環を止めてはならない。住民訴訟で受益者賦課金の支出には合理性がないとの判断が出た。これは各地の運動で利用可能である」

全国自然保護連合「リニアの問題を取り上げる。リニア建設は予算オーバーになる可能性が高い。JR東海には負担能力がない。東海道新幹線も別に新幹線があれば利用客が減る。日本航空のように税金を注ぎ込まなければならなくなる。

リニアにはエネルギー問題もある。運転には莫大な電力を消費し、原発の電力が必要になる。電磁波には健康被害の問題もある。南アルプスにトンネルを通すことで地下水への影響など自然破壊の危険もある。沿線住民で住民運動のネットワークを作る。

泡瀬干潟を守る連絡会「沖縄県沖縄市の泡瀬干潟を国が埋め立てをしている。毎年のように億単位の赤字が出る計画。経済的合理性がない。無駄遣いの最たるもの。心が洗われる干潟。生き物同士が生き合っている。人間として豊かになれる。

日本自然保護協会(沖縄県名護市の辺野古埋め立て)「本土のダムの浚渫土を埋め立てに使うと言い出した。これは外来種による自然破壊の危険がある」

成瀬ダムをストップさせる会(秋田県)「ダム建設の合計事業費は1500億円にも上る。国はダム建設のメリットとして渇水時にダムで貯めた水を流して流水を維持するというメリットを主張する。このメリットを実現するためには専用ダムを作るよりも成瀬ダムを建設する方がコスト安との詭弁である。成瀬ダム住民訴訟を係属中である。

最上小国川の清流を守る会「小国川はダムのない清流である。鮎釣り客で賑わう川である。漁協も一貫してダム反対を貫いている。公金差し止めの訴訟を提訴した。治水目的とするが、過去の浸水被害の大半は内水氾濫である。

思川開発事業を考える流域の会(栃木県)「南摩ダム建設に反対する。広域水道事業計画は全く進展していない」

設楽ダムの建設中止を求める会(愛知県設楽町)「無駄なダムである。愛知県に負担金支出差し止めを求める住民訴訟を起こした。立木トラストも実施する」

寒霞渓の自然を守る連合会「香川県小豆島の新内海ダムに反対する。小豆島では水はあり余っている。小豆島の人口は減少している。洪水対策も嘘である。川の洪水では死者や負傷者はない」

石木ダム建設絶対反対同盟(長崎県)「治水でも利水でも無駄である。県の話し合いは土地の売買で、それ以外の話しはしないと主張。事業認定申請の取り下げが先と主張する。絶対反対を貫いている」

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会(熊本県・川辺川ダム)「ダム中止特措法に期待していた。住民がうまく利用すればダムを作らなくても生活再建できる」

八つ場あしたの会「ダム中止特措法は廃案になったが、成立させられるように努力する。自然の生態系が豊かである上に歴史遺跡がある。ダム建設を中止し、遺跡公園にすることを訴える」

北海道自然保護協会「平取ダムはアイヌの聖地に作るが、アイヌの人々は平取町から仕事をもらっている関係で正面から反対しにくい状況にある。

当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会。札幌市は水が余っている。札幌市には一滴の水が供給されないのに50億円を札幌市が負担する。維持管理費もかかる。水道料金も値上げされた。

外環ネット「交通センサスで交通量の減少が明らかになっている。着工式の強行によって住民に怒りが渦巻いている。立ち退きを防ぐために地下になったのに一部地上にも作ることになっている」

各地からの報告に司会者は「北海道から沖縄まで熱い思いが伝わった」と述べる。

最後に集会宣言を実施した。公共事業見直しの基本三原則として聖域なき情報公開、住民参加の徹底、見直し中は工事凍結を掲げた。その上で以下のように宣言した。

「今度の衆議院選においてこの宣言に賛同する政党・候補者の躍進を大いに期待するものであり、ムダな公共事業への姿勢を投票の判断基準とするよう、有権者に対しても広く呼びかけていく」



【道路住民運動全国連絡会の野田佳彦・内閣総理大臣及び羽田雄一郎・国土交通大臣宛て要請書】

はじめに

昨年3月の東日本大震災以降、防災・減災を理由に、これまで凍結してきた高速道路の凍結解除や新たな高速道路建設の事業化を進めています。

東京外環道東京部分の本格着工(事業費1兆2800億円)、道路公団民営化の際に凍結した新名神二区間の凍結解除(6800億円)、三陸沿岸道路建設(事業費1兆4000億円)などが上げられます。

また、国史跡八王子城跡や国定公園・高尾山をトンネルで串刺しにし、横浜の閑静な住宅地を分断する首都圏中央連絡自動車道は、H23、24年の各年に1000億円近い事業費を投入しています。

東京外環道の千葉部分は、沿線住民の反対の声を無視して、強制収用手続きに入りました。

国民に多大な税金を強要しながら、その多くの財源を大型道路事業に使おうとする国の税金の使途に強く抗議します。

道路住民運動全国連絡会は、上記の高速道路建設や強制収用の中止を求めます。さらに来年度予算の作成に当たっては、これら事業の見直しと中止を要請します。

個別の住民団体からの質問や要請に対し、説明責任を果たすべく誠意ある回答を強く求めます。



東京外環道千葉区間

公害調停における千葉県郊外審査会・調停委員会の勧告の趣旨に従い、模型実験、風洞実験による環境影響予測をジャンクションやインターチェンジなど、影響の著しいと予測される地点で実施し、その結果を踏まえ、住民との協議の場を通して環境問題を解決して下さい。



首都圏中央連絡自動車道の八王子城跡と高尾山部分

1 2012年3月に圏央道高尾山トンネル部分の供用が開始されましたが、国史跡八王子城跡の御主殿の滝は涸れた状態が続いている。

地下水位は文化庁との協議同意の水位を現在にいたるも回復していないが、水位はいつ回復するのか説明して下さい。

2 高尾山トンネル近傍の地下水位を観測していた観測孔H20-1、No3-3を地下水位が回復したとして閉鎖し、これまで公表してきた地下水位データの開示も中止してしまいました。

地下水位データの開示を求めます。そのため閉鎖した観測孔を回復させるか新たな観測孔を設置して下さい。

3 城山・八王子トンネル工事によって涸れた榎窪川を元の状態に復活させて下さい。
公共事業徹底見直しを実現する集会
http://youtu.be/oeWo9COYzoA
公共事業徹底見直しを実現する集会2
http://youtu.be/S7TAIXESmB4
公共事業徹底見直しを実現する集会3
http://youtu.be/1svMs4ERbGQ
公共事業徹底見直しを実現する集会4
http://youtu.be/bKgOtxn8XDE



林田力

林田力は『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)の著者であり、東急不動産消費者契約法違反訴訟原告である。東京都中野区生まれ。

Hayashida Riki is the author of "The Suit TOKYU Land Corporation's Fraud: How to Win" and the plaintiff Who Fought Against TOKYU Land Corporation.

林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して東京都内の新築分譲マンションをだまし売りされた。東急リバブル・東急不動産は新築マンション引き渡し後に隣地が建て替えられて、日照・眺望・通風がなくなることを知っていたにもかかわらず故意に告げなかった。隣地が建て替えられれば部屋は真っ暗になり、作業所になるため騒音も発生する(山岡俊介「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」ストレイ・ドッグ2005年2月21日)。

このために林田力は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づいてマンション売買契約を取り消し、売買代金の返還を求めて東急不動産を東京地方裁判所に提訴し、勝訴した(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地判平成18年8月30日、平成17年(ワ)第3018号)。

判決は以下のように東急不動産の不利益事実不告知を認定した。その上で、東急不動産に売買代金の全額支払いを命じた。

「被告(注:東急不動産)は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対し、本件マンションの完成後すぐに北側隣地に3階建て建物が建築され、その結果、本件建物の洋室の採光が奪われ、その窓からの眺望・通風等も失われるといった住環境が悪化するという原告に不利益となる事実ないし不利益を生じさせるおそれがある事実を故意に告げなかった」

この判決は不動産取引に関して消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)を適用し契約の取消しを認めたリーディングケースである(佐藤裕一「東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口」MyNewsJapan 2009年9月3日)。

この東急不動産だまし売り裁判を契機として、インターネット上では東急リバブル・東急不動産に対する批判が急増した。「営業マンの態度が高慢」「頼みもしないDMを送りつけてくる」など「自分もこのような目に遭った」と訴訟の枠を越えた批判がなされ、炎上事件として報道された(「ウェブ炎上、<発言>する消費者の脅威−「モノ言う消費者」に怯える企業」週刊ダイヤモンド2007年11月17日号39頁)。

林田力は2009年7月には東急不動産との裁判を綴ったノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を出版する。『東急不動産だまし売り裁判』は『別冊サイゾーvol.1 タブー破りの本300冊 サイゾー11月号臨時増刊』(2010年11月1日発行)の「警察、学会、農業……の危険な裏 告発本が明らかにした「日本の闇」」で紹介された。林田力のコメントも掲載されている。

林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会「第3回首都圏交流会」(2009年11月24日)や「もめごとのタネはまちづくりのタネ研究会」定例会(2010年2月5日)でも東急不動産だまし売り裁判を報告した。

その後もマンション被害や住民運動を取材する。東急不動産だまし売り被害者として、林田力はマンション建設反対運動やゼロゼロ物件詐欺、追い出し屋被害に対しても強い共感をもって行動している。東京都世田谷区の二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住民被害や反対住民運動を詳細に紹介し、「世田谷問題を精力的に取材されているネット・ジャーナリスト」と評される。マンションだまし売りやゼロゼロ物件詐欺など悪徳不動産業者の実態を明らかにすることで、消費者や住民の権利拡張に寄与している。

林田力 wiki

 2003年6月、林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して東京都内の新築分譲マンションをだまし売りされた。
 2004年12月、林田力は消費者契約法第4条第2項(不利益事実の不告知)に基づき、売買契約を取り消した。
 2005年2月18日、林田力は売買代金の返還を求めて東急不動産を東京地方裁判所に提訴した。
 2006年8月30日、東京地裁で原告(林田力)勝訴の判決が言い渡された(東京地判平成18年8月30日、平成17年(ワ)第3018号)。
 2007年1月23日、林田力は東急不動産だまし売り裁判の記事「不動産トラブルと消費者契約法」を発表した。
 2007年3月20日、林田力は記事「アトラス・渡辺代表 東急物件の構造設計」で一級建築士資格を持たない無資格者が東急不動産マンションの構造設計者になっていた事実を明らかにした。
 2007年3月23日、林田力は記事「東急コミュニティーがマンション管理人を営業活動に“流用”」で東急コミュニティーがマンション管理人をリフォームなど自社の営業活動に流用していた事実を明らかにした。
 2007年10月9日、林田力は記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」で東急不動産だまし売り裁判に対する東急リバブル・東急不動産の「お詫び」を取り上げる。
 2008年1月8日、林田力は記事「東急リバブル、またまた虚偽広告」で東急リバブル東陽町営業所のマンション「アルス東陽町301号室」仲介虚偽広告を取り上げる。
 2008年2月1日、林田力は記事「東急の新築マンションでも広告表記訂正」でブランズシティ守谷の虚偽広告を取り上げる。ブランズシティ守谷の広告は駅からの距離を実際より短く表示した。
 2008年2月18日、林田力は記事「ブランズシティ守谷の建築確認に審査請求」で茨城県守谷市の新築分譲マンション・ブランズシティ守谷の建築紛争を取り上げた。
 2009年2月6日、林田力は記事「【かんぽの宿問題】東急リバブル転売にみる民営化の問題」で東急リバブルが旧日本郵政公社から評価額1000円で取得した沖縄東風平(こちんだ)レクセンターを学校法人・尚学学園(那覇市)に4900万円で転売した問題を取り上げた。
 2009年7月1日、林田力は東急不動産との裁判を綴ったノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を出版した。
 2009年9月28日、林田力は記事「東急東横線で車椅子の女性が転落死」で東急東横線多摩川駅で車椅子の女性が転落死した事件を取り上げた。
 2009年11月24日、林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会が主催する第3回首都圏交流会で東急不動産だまし売り裁判を報告する。
 2010年1月、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)事業計画(案)に対する意見書を東京都に提出した。
 2010年2月5日、林田力は「もめごとのタネはまちづくりのタネ研究会」定例会で東急不動産だまし売り裁判を報告した。
 2010年4月20日、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)事業計画(案)に対する口頭意見陳述を世田谷区玉川総合支所で実施した。
 2010年6月2日、林田力は記事「東急不動産の小日向マンションで建築確認に不備=東京・文京」で「(仮称)小日向プロジェクトII」(現ブランズタワー文京小日向)の建築基準法違反を取り上げた。
 2010年9月6日、林田力は記事「東急不動産係長がトラブル相手に嫌がらせ電話で逮捕」で東急不動産係長がトラブルとなった顧客に脅迫電話を繰り返して逮捕された事件を取り上げた。
 2010年2月11日、林田力は記事「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害」でブランズ文京小石川Park Frontの建築紛争を取り上げた。
 2010年3月17日、林田力は記事「金銭着服事件発表の東急コミュニティーでは文書流出も」で東急コミュニティーの金銭着服事件と文書流出事件を取り上げた。
 2011年10月18日、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)組合設立認可決裁文書の情報非開示異議申し立てに対する口頭意見陳述を東京都庁第一庁舎で実施した。
 2011年11月7日、林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク「マンション紛争・都市問題首都圏交流サロン」で二子玉川ライズ問題や世田谷区デジタルコンテンツ問題、巨大アンテナ問題を報告した。
 2011年11月9日、林田力は世田谷区実施計画・行政経営改革計画素案に二子玉川ライズ補助廃止の立場から意見提出した。
 2012年3月22日、林田力は記事「東急は耐震工事を口実に古くからの住民の追い出しを図り住民は生活苦に陥る」で東急電鉄による東急大井町線大井町駅高架下住民追い出し問題を取り上げた。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『二子玉川ライズ反対運動』

 林田力『二子玉川ライズ反対運動』(マイブックル)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。

 自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。本書では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。

 また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者の林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

 林田力『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションである。2010年に刊行した『二子玉川ライズ反対運動』の続編である。東京都世田谷区の玉川では東急電鉄や東急不動産ら東急グループ主体の再開発・二子玉川ライズによる住環境破壊が問題になっている。

 第一章では二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。

 第二章では裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。

 第三章は二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを収録する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。

 第四章では二子玉川ライズのビル風問題について住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録する。

 第五章は世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」についてである。

 第六章では二子玉川ライズと同じ東急のトラブルとして、東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げる。二子玉川住民と大井町住民は同じ東急電鉄に苦しめられている住民として連携して活動している。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。

【目次】修繕積立金不足発覚/事務所使用を正当化/管理組合文書漏洩/管理委託契約違反/管理事務報告/管理人の営業利用/粗末な管理費督促/防火管理者/創立記念日/管理会社変更引継ぎの杜撰/リプレースの効果/マンション仲介広告に注意