林田力『東急不動産だまし売り裁判』研究



静岡県伊東市で建築不動産トラブル


静岡県伊東市で起きた建築不動産トラブルの話を聞いた。不利益事実を隠して新築マンションをだまし売りし、消費者契約法違反で売買契約を取り消された東急不動産だまし売り裁判から不動産業界は何も学んでいないかのようである。

トラブルは戸建て注文住宅である。施主は老親の終の住処としてバリアフリー住宅を注文した。ところが、建設会社は施主に建築書類を一切見せなかった。仕方がないために施主は建築確認検査機関に閲覧とコピー代一万円支払ったところ、嘘の建築確認申請書であることが判明した。建築申請書は全く知らない人が勝手にサイン捺印したものであった。図面の内容も施主の希望した注文建築図面とは全く異なるものであった。

建設会社は「バリアフリー注文建築とは聞いてない、根も葉もないことを言うな」と開き直る。施主が女性であるために軽く見て高圧的な態度を取る。設計監理の二級建築士は名義貸しで一切監理せず、現場管理者の大工が勝手に工事を進めていた。施主は地鎮祭もさせてもらえなかった。建築条件付きでもないのに、ドンドン工事を進めてしまった。

建築確認検査機関は「提出されたモノを受けただけで、こちらに責任はない」と言う。施主が犯罪を指摘しても対処しない。「もう申請書を受理し、中間検査も済みました」と発言して終わりにしてしまう。

希望の注文建築でない上に、契約書の建築完成日2日前に、メールで「完成できません」と連絡をしてきた後、半年近く、鍵を渡されずに未完成放置された。示談屋が優しいコトバで近づいてきたが、断ると建築会社側に立ち、施主が困るように仕向けてきた。例えば、施主の敷地庭部分に無許可でわざわざトラックを駐車し、近くで作業するという嫌がらせを繰り返す。

施主は弁護士会に相談したが、何と加害者側の不動産業者の代理人経験者を紹介してきた。施主が何も知らずに、相談すると、「不動産業者も大工も悪くない」と強い口調で繰り返した。施主は弁護士会の苦情処理係に苦情を伝えた。業界関係者皆が被害者の泣き寝入りを待っているかのような態度であった。

不動産トラブルでは様々な関係者が寄ってたかって被害者を攻撃する。被害者の怒りを分散させて消耗させようとする悪徳不動産業者の戦略である。東急不動産だまし売り裁判でも東急リバブルと東急不動産のたらい回しに加えて、地上げブローカーや東急不動産工作員と一体化したゼロゼロ物件業者などが登場する。

マンション分譲主の東急不動産、販売会社の東急リバブル、管理会社の東急コミュニティーで、たらい回しにし、誰も責任を取らなかった。東急リバブル客様相談室の室長代理は「契約相手は東急不動産です。リバブルは東急不動産とは別会社なので無関係だから対応できません」と言い放った。

アスベスト使用の問題では東急リバブルと東急不動産と施工会社のピーエス三菱でたらい回しにした。欠陥施工問題では東急不動産と施工会社のピーエス三菱、設計・監理のSHOW建築設計事務所で責任のなすり合いが行われた。構造設計者の無資格問題ではSHOW建築設計事務所と構造設計のアトラス設計でたらい回しにした(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』99頁以下)。

全て批判に値する悪徳業者であるが、被害回復の闘いでは主敵を、金を取り戻す相手に絞る必要がある。東急不動産だまし売り裁判の場合は東急不動産である。それ以外の連中は悔しいものがあるが、主敵を批判する中で一緒に批判する形にする。

欠陥施工の被害者の相談に乗るべき建築士などでさえ「だまされた方が悪い」という言い方をする。これは根本的な誤りである。だます人とだまされる人の間では、だます側が全面的に悪い(林田力「消費者トラブルの2つの論点」PJニュース2010年5月5日)。

悪徳不動産業者の悪質さは消費者を一回欺くだけでは満足しないことである。未完成の家を指して「家はもうどうにもならないが、空いている庭を畑にしたらいい。ウチがやろうか」と誘ってくる。うっかり土地を課そうものならば何十年も居座られて乗っ取られてしまうことは目に見えている。

また、未完成の家の仮住まいとして建設会社とつながりのある不動産業者がゼロゼロ物件を紹介してきた。高額な違約金請求や追い出し屋で社会問題になっているゼロゼロ物件である。東京都から宅建業法違反で業務停止処分を受けた悪質な業者もいる(住まいの貧困に 取り組むネットワーク ブログ「シンエイエステートとグリーンウッドに対して東京都が行政処分」2010年6月8日)。悪徳不動産業者の詐欺ネットワークには辟易させられる。

これは東急不動産だまし売り裁判も同じである。東急リバブルは裁判中にマンションの買い替えを勧誘してきた。マンション購入者が逃げ出したくなるような屑物件を売りつけておきながら、被害者を住み替えさせて再度儲けようとする。その後も東急不動産のリフォーム子会社・東急アメニックス(現:東急ホームズ)が浄水器や換気扇のフィルターなどを売りつけてきた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』80頁以下)。

東急不動産は和解協議で売買契約の取消しではなく、仲介での売却を提案してきた。「過ぎたことは過ぎたこととして、被害者と加害者が協力することで損害を最小限にしよう」という発想である。一度、不動産取引で騙された被害者が新たな取引に応じる筈がない。当然のことながら和解協議は決裂し、東京地裁平成18年8月30日判決で東急不動産に売買代金全額の支払いが命じられた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。

東急不動産だまし売り裁判では最終的に売買代金を取り戻り、東急不動産に問題マンションを明け渡したが、その際の東急不動産の課長(当時)の発言がマンションだまし売り被害者感情を無視していた。課長は記者に「迷惑をかけた」と詫びた上で、驚くべきことに「機会があれば(東急不動産を)よろしく」と発言したのである。マンションだまし売り被害者が課長の発言に呆れたことは当然である。

一般の消費者にとって不動産の購入は一生に一度あるかないかの出来事である。一度失敗したからといって、簡単にやり直しができるものではない。散々苦しめられた業者から購入したいと考えるはずがないが、それ以前に記者があらためて物件を購入すると考えること自体が信じ難い。


林田力

林田力は『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)の著者であり、東急不動産消費者契約法違反訴訟原告である。東京都中野区生まれ。

Hayashida Riki is the author of "The Suit TOKYU Land Corporation's Fraud: How to Win" and the plaintiff Who Fought Against TOKYU Land Corporation.

林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して東京都内の新築分譲マンションをだまし売りされた。東急リバブル・東急不動産は新築マンション引き渡し後に隣地が建て替えられて、日照・眺望・通風がなくなることを知っていたにもかかわらず故意に告げなかった。隣地が建て替えられれば部屋は真っ暗になり、作業所になるため騒音も発生する(山岡俊介「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」ストレイ・ドッグ2005年2月21日)。

このために林田力は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づいてマンション売買契約を取り消し、売買代金の返還を求めて東急不動産を東京地方裁判所に提訴し、勝訴した(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地判平成18年8月30日、平成17年(ワ)第3018号)。

判決は以下のように東急不動産の不利益事実不告知を認定した。その上で、東急不動産に売買代金の全額支払いを命じた。

「被告(注:東急不動産)は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対し、本件マンションの完成後すぐに北側隣地に3階建て建物が建築され、その結果、本件建物の洋室の採光が奪われ、その窓からの眺望・通風等も失われるといった住環境が悪化するという原告に不利益となる事実ないし不利益を生じさせるおそれがある事実を故意に告げなかった」

この判決は不動産取引に関して消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)を適用し契約の取消しを認めたリーディングケースである(佐藤裕一「東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口」MyNewsJapan 2009年9月3日)。

この東急不動産だまし売り裁判を契機として、インターネット上では東急リバブル・東急不動産に対する批判が急増した。「営業マンの態度が高慢」「頼みもしないDMを送りつけてくる」など「自分もこのような目に遭った」と訴訟の枠を越えた批判がなされ、炎上事件として報道された(「ウェブ炎上、<発言>する消費者の脅威−「モノ言う消費者」に怯える企業」週刊ダイヤモンド2007年11月17日号39頁)。

林田力は2009年7月には東急不動産との裁判を綴ったノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を出版する。『東急不動産だまし売り裁判』は『別冊サイゾーvol.1 タブー破りの本300冊 サイゾー11月号臨時増刊』(2010年11月1日発行)の「警察、学会、農業……の危険な裏 告発本が明らかにした「日本の闇」」で紹介された。林田力のコメントも掲載されている。

林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会「第3回首都圏交流会」(2009年11月24日)や「もめごとのタネはまちづくりのタネ研究会」定例会(2010年2月5日)でも東急不動産だまし売り裁判を報告した。

その後もマンション被害や住民運動を取材する。東急不動産だまし売り被害者として、林田力はマンション建設反対運動やゼロゼロ物件詐欺、追い出し屋被害に対しても強い共感をもって行動している。東京都世田谷区の二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住民被害や反対住民運動を詳細に紹介し、「世田谷問題を精力的に取材されているネット・ジャーナリスト」と評される。マンションだまし売りやゼロゼロ物件詐欺など悪徳不動産業者の実態を明らかにすることで、消費者や住民の権利拡張に寄与している。

林田力 wiki

 2003年6月、林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して東京都内の新築分譲マンションをだまし売りされた。
 2004年12月、林田力は消費者契約法第4条第2項(不利益事実の不告知)に基づき、売買契約を取り消した。
 2005年2月18日、林田力は売買代金の返還を求めて東急不動産を東京地方裁判所に提訴した。
 2006年8月30日、東京地裁で原告(林田力)勝訴の判決が言い渡された(東京地判平成18年8月30日、平成17年(ワ)第3018号)。
 2007年1月23日、林田力は東急不動産だまし売り裁判の記事「不動産トラブルと消費者契約法」を発表した。
 2007年3月20日、林田力は記事「アトラス・渡辺代表 東急物件の構造設計」で一級建築士資格を持たない無資格者が東急不動産マンションの構造設計者になっていた事実を明らかにした。
 2007年3月23日、林田力は記事「東急コミュニティーがマンション管理人を営業活動に“流用”」で東急コミュニティーがマンション管理人をリフォームなど自社の営業活動に流用していた事実を明らかにした。
 2007年10月9日、林田力は記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」で東急不動産だまし売り裁判に対する東急リバブル・東急不動産の「お詫び」を取り上げる。
 2008年1月8日、林田力は記事「東急リバブル、またまた虚偽広告」で東急リバブル東陽町営業所のマンション「アルス東陽町301号室」仲介虚偽広告を取り上げる。
 2008年2月1日、林田力は記事「東急の新築マンションでも広告表記訂正」でブランズシティ守谷の虚偽広告を取り上げる。ブランズシティ守谷の広告は駅からの距離を実際より短く表示した。
 2008年2月18日、林田力は記事「ブランズシティ守谷の建築確認に審査請求」で茨城県守谷市の新築分譲マンション・ブランズシティ守谷の建築紛争を取り上げた。
 2009年2月6日、林田力は記事「【かんぽの宿問題】東急リバブル転売にみる民営化の問題」で東急リバブルが旧日本郵政公社から評価額1000円で取得した沖縄東風平(こちんだ)レクセンターを学校法人・尚学学園(那覇市)に4900万円で転売した問題を取り上げた。
 2009年7月1日、林田力は東急不動産との裁判を綴ったノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を出版した。
 2009年9月28日、林田力は記事「東急東横線で車椅子の女性が転落死」で東急東横線多摩川駅で車椅子の女性が転落死した事件を取り上げた。
 2009年11月24日、林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会が主催する第3回首都圏交流会で東急不動産だまし売り裁判を報告する。
 2010年1月、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)事業計画(案)に対する意見書を東京都に提出した。
 2010年2月5日、林田力は「もめごとのタネはまちづくりのタネ研究会」定例会で東急不動産だまし売り裁判を報告した。
 2010年4月20日、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)事業計画(案)に対する口頭意見陳述を世田谷区玉川総合支所で実施した。
 2010年6月2日、林田力は記事「東急不動産の小日向マンションで建築確認に不備=東京・文京」で「(仮称)小日向プロジェクトII」(現ブランズタワー文京小日向)の建築基準法違反を取り上げた。
 2010年9月6日、林田力は記事「東急不動産係長がトラブル相手に嫌がらせ電話で逮捕」で東急不動産係長がトラブルとなった顧客に脅迫電話を繰り返して逮捕された事件を取り上げた。
 2010年2月11日、林田力は記事「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害」でブランズ文京小石川Park Frontの建築紛争を取り上げた。
 2010年3月17日、林田力は記事「金銭着服事件発表の東急コミュニティーでは文書流出も」で東急コミュニティーの金銭着服事件と文書流出事件を取り上げた。
 2011年10月18日、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)組合設立認可決裁文書の情報非開示異議申し立てに対する口頭意見陳述を東京都庁第一庁舎で実施した。
 2011年11月7日、林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク「マンション紛争・都市問題首都圏交流サロン」で二子玉川ライズ問題や世田谷区デジタルコンテンツ問題、巨大アンテナ問題を報告した。
 2011年11月9日、林田力は世田谷区実施計画・行政経営改革計画素案に二子玉川ライズ補助廃止の立場から意見提出した。
 2012年3月22日、林田力は記事「東急は耐震工事を口実に古くからの住民の追い出しを図り住民は生活苦に陥る」で東急電鉄による東急大井町線大井町駅高架下住民追い出し問題を取り上げた。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『二子玉川ライズ反対運動』

 林田力『二子玉川ライズ反対運動』(マイブックル)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。

 自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。本書では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。

 また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者の林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

 林田力『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションである。2010年に刊行した『二子玉川ライズ反対運動』の続編である。東京都世田谷区の玉川では東急電鉄や東急不動産ら東急グループ主体の再開発・二子玉川ライズによる住環境破壊が問題になっている。

 第一章では二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。

 第二章では裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。

 第三章は二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを収録する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。

 第四章では二子玉川ライズのビル風問題について住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録する。

 第五章は世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」についてである。

 第六章では二子玉川ライズと同じ東急のトラブルとして、東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げる。二子玉川住民と大井町住民は同じ東急電鉄に苦しめられている住民として連携して活動している。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。

【目次】修繕積立金不足発覚/事務所使用を正当化/管理組合文書漏洩/管理委託契約違反/管理事務報告/管理人の営業利用/粗末な管理費督促/防火管理者/創立記念日/管理会社変更引継ぎの杜撰/リプレースの効果/マンション仲介広告に注意