林田力 wiki



女性天皇・女性宮家と男女同権


賛否両論ある女性天皇(女系天皇)・女性宮家。男女同権を推進する立場から検討する。結論を先に言えば男女同権論者として女性天皇や女性宮家を支持することも反対することも成り立つ。

まず賛成論である。表面的には女性天皇・女性宮家は男女同権と親和性がある。男性皇族に限定されていたものを女性皇族にも認めるものであり、両性の平等に資する。看護師のように特定の性のみの職種が別の性にも認められることは男女同権の流れである。

女性天皇・女性宮家反対論の拠り所は伝統であるが、これは理由にならない。まず現代においては天皇制の拠り所は日本国憲法である。過去の天皇制がどのようなものであれ、現代の天皇制は日本国憲法の定める「両性の本質的平等」に即して制度設計されなければならない。

反対論は男系にしか遺伝しない「Y染色体」という生物学的な要素まで持ち出すが、これも理由にならない。伝統的な天皇制は男系でも女系でもなく、両系であった。皇后は皇族に限られ、父親だけでなく、母親の身分も重視された。皇后が人臣である藤原氏から出されることが常態化することで既に天皇家の伝統は崩壊している。

また、「Y染色体」が根拠ならば全国に広がる源氏や平氏など全ての皇室に連なる男系の子孫は皇位を主張できることになる。「Y染色体」論は皇室の伝統を守る立場から出ているが、むしろ皇室を相対化し、その神聖性を希薄化することになる。「Y染色体」論を登場させた点で女性天皇論の功績になる。

次に反対論である。第一に女性天皇・女性宮家が真の男女同権になるかという問題がある。単に女性が天皇に即位し、宮家を開設できるだけでは男女同権には不十分である。男性天皇と女性天皇、男性宮家と女性宮家の区別がなくなって初めて男女同権と呼べる。この点で歴史上存在した女性天皇は男女同権からの女性天皇論の根拠にはならない。

現実問題として女性天皇・女性宮家を認める場合には法律の改正が必要で、その場合に女性天皇・女性宮家ならではの条項が定められることが予想される。女性天皇・女性宮家を認めることで、かえって男女の差異を際立たせる危険性も高い。それが男女同権に資するか、女性差別を拡大するか議論が分かれるところである。

第二に法の下の平等の矛盾拡大である。世襲制の天皇・皇族は日本国憲法の定めた法の下の平等の例外である。よって可能な限り、限定に解釈することが法の下の平等からの要請である。女性皇族が婚姻によって皇族から抜けることは、法の下の平等の範囲を広げる意味では望ましい。反対に天皇や宮家という法の下の平等に反する地位に就ける人を拡大することは、法の下の平等との矛盾を拡大する。

たとえば女性天皇を認めるとして、親王と内親王がいた場合に皇位継承順序をどうするかという問題がある。もし親王に優先順位があり、親王がいない場合だけ、内親王が即位できるとなれば男女差別である。親王・内親王に関わらず、年齢順で継承できるとすれば男女は同権であるが、兄または姉と弟または妹の間で年齢による差別になる。結局のところ、天皇制自体が差別の根源であり、取り繕うとしても別の観点で矛盾が生じてしまう。

女性天皇・女性宮家の議論では純粋な理念としての男女同権だけでなく、現実政治における主張者の動機も分析する必要がある。賛成論は皇位継承者や皇族の減少という現実に直面して天皇制を延命させるために提示された。男女同権という理念から提示されたものではなく、男女同権論者が熱くなる話ではない。

皇位継承者や皇族が途絶えてしまうならば、法の下の平等を実現する上で望ましい結果になる。日本国憲法の最大の矛盾が天皇制であり、その矛盾を抱えた日本国憲法を護る護憲運動に終始していることが日本の市民運動の限界であり、弱点であった(林田力「中井洽の非礼発言と天皇制の対立軸化(下)」PJニュース 2010年12月5日)。皇室が自然に途絶えるならば憲法改正を経ずして天皇制を解消できる。

女性天皇・女性宮家の熱烈な反対論にも思惑が見え隠れする。敗戦によって皇族から離脱した旧宮家の子孫が、あわよくば皇族に復帰しようという思惑である。結局のところ、明仁一家と遠い親戚との間のお家騒動という側面がある。この視点に立つならば皇太子夫妻への人格攻撃も理解しやすくなる。女性天皇・女性宮家を否定した上で天皇制を存続させようとするならば旧宮家の子孫の皇族復帰は現実的な選択肢になる。

旧宮家の皇族離脱は皇室なりの戦争責任の果たし方であった。本来は昭和天皇(裕仁)が退位すべきであった。承久の乱のように敗戦による退位は珍しくない。それが天皇制を存続する道であった。昭和天皇が留まったことは天皇制の伝統からも特異であった。それは戦争責任の追及が不十分になっている大きな要因である。旧宮家の皇族復帰までも認めるならば戦後改革を否定する逆コースを象徴することになる。

故に「旧宮家の皇族復帰を阻止するためにも女性天皇・女性宮家を認めるべき」との主張は一つの現実論である。「皇族が途絶えて自然消滅させることが法の下の平等を達成する」は楽観論である。現実に途絶える事態になれば、旧宮家を皇族復帰させて天皇制を延命させようとする公算が高い。それならば女性天皇・女性宮家を認めた方がいいという考えも成り立つ。

一方で旧宮家を皇族復帰させた方が天皇制の矛盾を明らかにできるとの考えもある。現状では天皇制は国民に広く支持されているが、それは現在の天皇・皇族の人間性に負うところが大きい。現在の内親王が天皇や宮家設立するならば国民の支持は得られやすい。

残念ながら天皇制と差別についての国民の問題意識は低いものの、それまで馴染みのなかった人物が、祖先が天皇というだけで皇族となることを支持するほどには国民は幼稚ではない。旧皇族の皇族復帰は世襲に基づく天皇制の不合理を白日の下に晒すことになる。それ故に天皇制に批判的な立場からも、むしろ旧宮家の皇族復帰を歓迎する心理も働く。

以上の通り、女性天皇・女性宮家は男女同権論者が必死に推進するほどの価値はない。世界的には「女性兵士が男性兵士と同じように従軍し、人殺しをすることが男女同権」というフェミニズムもある。しかし、男女同権以外の矛盾や人権侵害を放置して男女の平等だけを目指すことが正しいフェミニズムの姿勢ではない。女性天皇・女性宮家賛成論も独善的なフェミニズムに陥る危険がある。

一方で男女同権の立場から女性天皇・女性宮家を賛成することがシャローということにはならない。まだまだ日本は男女同権の後進国である。一端の市民運動家を気取る人物でさえ、面識のない大人の女性を自分の娘ぐらいの年代だからという理由で「ちゃん」付けで呼ぶことを正当化するレベルである(林田力「若年層右傾化の背景と限界」)。フェミニズムの独善を懸念するほどの水準に至っていない。

http://www.hayariki.net/poli/zainichi.html

そして女性天皇・女性宮家は天皇制への問題提起になっている。天皇制の延命が動機であるとしても、天皇制の強固な信奉者からは猛反発を受けている。これによって市民感覚と乖離した天皇制の反動性が明らかになる。天皇制の枠内で男女平等を追求しても別の箇所で矛盾が拡大する。これは真実であるが、現行の天皇制の男女不平等を指摘しなくていいということにはならず、問題提起には意義がある。


林田力

林田力は『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社、2009年)の著者であり、東急不動産消費者契約法違反訴訟原告である。東京都中野区生まれ。

Hayashida Riki is the author of "The Suit TOKYU Land Corporation's Fraud: How to Win" and the plaintiff Who Fought Against TOKYU Land Corporation.

林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実を隠して東京都内の新築分譲マンションをだまし売りされた。東急リバブル・東急不動産は新築マンション引き渡し後に隣地が建て替えられて、日照・眺望・通風がなくなることを知っていたにもかかわらず故意に告げなかった。隣地が建て替えられれば部屋は真っ暗になり、作業所になるため騒音も発生する(山岡俊介「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」ストレイ・ドッグ2005年2月21日)。

このために林田力は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づいてマンション売買契約を取り消し、売買代金の返還を求めて東急不動産を東京地方裁判所に提訴し、勝訴した(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地判平成18年8月30日、平成17年(ワ)第3018号)。

判決は以下のように東急不動産の不利益事実不告知を認定した。その上で、東急不動産に売買代金の全額支払いを命じた。

「被告(注:東急不動産)は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対し、本件マンションの完成後すぐに北側隣地に3階建て建物が建築され、その結果、本件建物の洋室の採光が奪われ、その窓からの眺望・通風等も失われるといった住環境が悪化するという原告に不利益となる事実ないし不利益を生じさせるおそれがある事実を故意に告げなかった」

この判決は不動産取引に関して消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)を適用し契約の取消しを認めたリーディングケースである(佐藤裕一「東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口」MyNewsJapan 2009年9月3日)。

この東急不動産だまし売り裁判を契機として、インターネット上では東急リバブル・東急不動産に対する批判が急増した。「営業マンの態度が高慢」「頼みもしないDMを送りつけてくる」など「自分もこのような目に遭った」と訴訟の枠を越えた批判がなされ、炎上事件として報道された(「ウェブ炎上、<発言>する消費者の脅威−「モノ言う消費者」に怯える企業」週刊ダイヤモンド2007年11月17日号39頁)。

林田力は2009年7月には東急不動産との裁判を綴ったノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を出版する。『東急不動産だまし売り裁判』は『別冊サイゾーvol.1 タブー破りの本300冊 サイゾー11月号臨時増刊』(2010年11月1日発行)の「警察、学会、農業……の危険な裏 告発本が明らかにした「日本の闇」」で紹介された。林田力のコメントも掲載されている。

林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会「第3回首都圏交流会」(2009年11月24日)や「もめごとのタネはまちづくりのタネ研究会」定例会(2010年2月5日)でも東急不動産だまし売り裁判を報告した。

その後もマンション被害や住民運動を取材する。東急不動産だまし売り被害者として、林田力はマンション建設反対運動やゼロゼロ物件詐欺、追い出し屋被害に対しても強い共感をもって行動している。東京都世田谷区の二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住民被害や反対住民運動を詳細に紹介し、「世田谷問題を精力的に取材されているネット・ジャーナリスト」と評される。マンションだまし売りやゼロゼロ物件詐欺など悪徳不動産業者の実態を明らかにすることで、消費者や住民の権利拡張に寄与している。

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 2003年6月、林田力は東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実(隣地建て替えなど)を隠して東京都内の新築分譲マンションをだまし売りされた。
 2004年12月、林田力は消費者契約法第4条第2項(不利益事実の不告知)に基づき、売買契約を取り消した。
 2005年2月18日、林田力は売買代金の返還を求めて東急不動産を東京地方裁判所に提訴した。
 2006年8月30日、東京地裁で原告(林田力)勝訴の判決が言い渡された(東京地判平成18年8月30日、平成17年(ワ)第3018号)。
 2007年1月23日、林田力は東急不動産だまし売り裁判の記事「不動産トラブルと消費者契約法」を発表した。
 2007年3月20日、林田力は記事「アトラス・渡辺代表 東急物件の構造設計」で一級建築士資格を持たない無資格者が東急不動産マンションの構造設計者になっていた事実を明らかにした。
 2007年3月23日、林田力は記事「東急コミュニティーがマンション管理人を営業活動に“流用”」で東急コミュニティーがマンション管理人をリフォームなど自社の営業活動に流用していた事実を明らかにした。
 2007年10月9日、林田力は記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」で東急不動産だまし売り裁判に対する東急リバブル・東急不動産の「お詫び」を取り上げる。
 2008年1月8日、林田力は記事「東急リバブル、またまた虚偽広告」で東急リバブル東陽町営業所のマンション「アルス東陽町301号室」仲介虚偽広告を取り上げる。
 2008年2月1日、林田力は記事「東急の新築マンションでも広告表記訂正」でブランズシティ守谷の虚偽広告を取り上げる。ブランズシティ守谷の広告は駅からの距離を実際より短く表示した。
 2008年2月18日、林田力は記事「ブランズシティ守谷の建築確認に審査請求」で茨城県守谷市の新築分譲マンション・ブランズシティ守谷の建築紛争を取り上げた。
 2009年2月6日、林田力は記事「【かんぽの宿問題】東急リバブル転売にみる民営化の問題」で東急リバブルが旧日本郵政公社から評価額1000円で取得した沖縄東風平(こちんだ)レクセンターを学校法人・尚学学園(那覇市)に4900万円で転売した問題を取り上げた。
 2009年7月1日、林田力は東急不動産との裁判を綴ったノンフィクション『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』を出版した。
 2009年9月28日、林田力は記事「東急東横線で車椅子の女性が転落死」で東急東横線多摩川駅で車椅子の女性が転落死した事件を取り上げた。
 2009年11月24日、林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク・東京準備会が主催する第3回首都圏交流会で東急不動産だまし売り裁判を報告する。
 2010年1月、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)事業計画(案)に対する意見書を東京都に提出した。
 2010年2月5日、林田力は「もめごとのタネはまちづくりのタネ研究会」定例会で東急不動産だまし売り裁判を報告した。
 2010年4月20日、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)事業計画(案)に対する口頭意見陳述を世田谷区玉川総合支所で実施した。
 2010年6月2日、林田力は記事「東急不動産の小日向マンションで建築確認に不備=東京・文京」で「(仮称)小日向プロジェクトII」(現ブランズタワー文京小日向)の建築基準法違反を取り上げた。
 2010年9月6日、林田力は記事「東急不動産係長がトラブル相手に嫌がらせ電話で逮捕」で東急不動産係長がトラブルとなった顧客に脅迫電話を繰り返して逮捕された事件を取り上げた。
 2010年2月11日、林田力は記事「ブランズ文京小石川Park Frontで近隣住民が工事被害」でブランズ文京小石川Park Frontの建築紛争を取り上げた。
 2010年3月17日、林田力は記事「金銭着服事件発表の東急コミュニティーでは文書流出も」で東急コミュニティーの金銭着服事件と文書流出事件を取り上げた。
 2011年10月18日、林田力は二子玉川東第二地区市街地再開発(二子玉川ライズ2期)組合設立認可決裁文書の情報非開示異議申し立てに対する口頭意見陳述を東京都庁第一庁舎で実施した。
 2011年11月7日、林田力は景観と住環境を考える全国ネットワーク「マンション紛争・都市問題首都圏交流サロン」で二子玉川ライズ問題や世田谷区デジタルコンテンツ問題、巨大アンテナ問題を報告した。
 2011年11月9日、林田力は世田谷区実施計画・行政経営改革計画素案に二子玉川ライズ補助廃止の立場から意見提出した。
 2012年3月22日、林田力は記事「東急は耐震工事を口実に古くからの住民の追い出しを図り住民は生活苦に陥る」で東急電鉄による東急大井町線大井町駅高架下住民追い出し問題を取り上げた。

林田力『東急不動産だまし売り裁判』

東急不動産消費者契約法違反訴訟を描くノンフィクション

 林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』(ロゴス社)は東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた消費者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。

 裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現。個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!

 裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻度を増すマンション問題の現実を明らかにする。東急不動産のために働いた地上げ屋(近隣対策屋、東急不動産工作員)が暗躍し、住環境を破壊する高層マンション建築紛争と共通するマンション建設の闇に触れる。

林田力『二子玉川ライズ反対運動』

 林田力『二子玉川ライズ反対運動』(マイブックル)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)に対する住民運動を記録したノンフィクションである。東京都世田谷区の二子玉川(ニコタマ)では街壊しが進行中である。「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」や「二子玉川ライズ オフィス」など東急電鉄・東急不動産ら東急グループの営利目的の再開発によって、二子玉川の貴重な自然と近隣住民の住環境が破壊されている。

 自然と住環境を守るために住民運動側は住民集会や裁判、議会への陳情など様々な活動に取り組んでいる。本書では「にこたまの環境を守る会」「二子玉川東地区まちづくり協議会」ら住民団体の活動の一端を紹介する。

 また、同じく二子玉川で起きている住民運動である多摩川暫定堤防や三菱地所玉川一丁目マンションへの反対運動についても触れた。『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者の林田力が東京都に提出した二子玉川東第二地区市街地再開発事業計画(案)への意見書及び口頭意見陳述原稿も収録した。

林田力『二子玉川ライズ反対運動2』

 林田力『二子玉川ライズ反対運動2』(マイブックル)は二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の住環境破壊の実態や反対住民運動を記録したノンフィクションである。2010年に刊行した『二子玉川ライズ反対運動』の続編である。東京都世田谷区の玉川では東急電鉄や東急不動産ら東急グループ主体の再開発・二子玉川ライズによる住環境破壊が問題になっている。

 第一章では二子玉川ライズがダメな理由を明らかにする。

 第二章では裁判や集会など二子玉川ライズ反対運動の活動を述べる。二子玉川ライズ住民訴訟では実質和解という画期的な解決となった。

 第三章は二子玉川ライズ問題に対する様々な観点からのオピニオンを収録する。二子玉川ライズと東京スカイツリーや中野駅周辺再開発、海のピラミッド(熊本県)などの開発事業と共通する弊害を論じている。

 第四章では二子玉川ライズのビル風問題について住民と世田谷区の緊迫感ある協議内容を収録する。

 第五章は世田谷区議会を揺るがしたスキャンダル「二子玉川デジタル・コンテンツ問題」についてである。

 第六章では二子玉川ライズと同じ東急のトラブルとして、東急電鉄による東急大井町線高架下住民追い出し問題を取り上げる。二子玉川住民と大井町住民は同じ東急電鉄に苦しめられている住民として連携して活動している。

林田力『東急コミュニティー解約記』

 林田力『東急コミュニティー解約記』(パブ―)はマンションの管理会社を変更し、管理委託費を大幅に削減した事例の記録である。東急不動産が分譲したマンション・アルス東陽町(東京都江東区)では管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 林田力はアルス301号室の区分所有者であった。物件引渡し後に不利益事実不告知が判明したため、売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社)。売買代金を取り戻すまでは居住しており、管理組合理事長も務め、管理会社変更までの経緯にも関係していた。

 アルスでは売主・東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社の東急コミュニティー(東京都世田谷区)に管理を委託していた。管理委託費等は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーの杜撰な管理が次々と明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。

【目次】修繕積立金不足発覚/事務所使用を正当化/管理組合文書漏洩/管理委託契約違反/管理事務報告/管理人の営業利用/粗末な管理費督促/防火管理者/創立記念日/管理会社変更引継ぎの杜撰/リプレースの効果/マンション仲介広告に注意